26-6
「がはぁっ!!」
「ひっ」
「ね、ねえ……」
背後から何かを吐くような声と、ただならぬ雰囲気が!
な、なに、どうしたっていうの?
「なんだ?」
「ん?」
そう思いつつ、あたしはゆっくりと後ろを振り向いていくと……。
「お前……、これは!」
「ひええっ」
げげっ!
口から真っ黒などろどろが出ている!
し、しかもそれがどんどん体を包んでいって……!
ねえこれってもしかして、闇……?
「許さない……、許さない……!!!!!」
う、うそ……。
口から出てきた黒いどろどろにあっという間に飲みこまれて、前にあたしと戦ったような闇になっちゃったよ!!
なんで、どうして……。
「なんだと!」
「や、闇だ……!」
「死にたくない~~!!」
「お、お前ら待て! 逃げるなー!!」
ちょ、ちょっと!
仲間放って逃げちゃ駄目だよ!!
あああ、待ってーー!ていう前にもう居なくなってる……。
うう、どうしよう。
……と思ったけど、ひとりだけ残ってたや。
「……お前がランク41か?」
「ええ」
「さすが肝が据わってるな」
なるほど、この人が一番ランクの高い人だったんだね。
闇を目の前にしても逃げない。
むしろ構えてどうしようか考えている、エレナの言う通りこの人は出来る。
「逃げた子は許して欲しい」
「別に気にしてねえよ」
人間が闇になると危険度BとかAになるんだっけか。
そりゃ、普通の魔法少女じゃ勝てないもの、逃げるよ……。
というか、リゼットのような高ランカーもいない。
むしろリゼットですら歯が立たなかったのに、失礼かもしれないけど、正直あたしたちも逃げたほうがいいよね?
「エレナ、ここは逃げて立て直さないと――」
「ゆき、戦うぞ」
「えぇ……」
「俺らがここでいなくなったらやばいだろ」
そうだよ、このまま放っておいたら都に来ちゃうよね。
応援を呼ぶって手もあるけども、呼んでいる間に被害が出たら大変だし……。
「先に言っておくことがある」
「うん?」
「あいつを許して欲しい」
許すも何も仕方ないよ。
どういう理由かは分からないけども、闇に飲みこまれちゃったわけだし。
あたしの本破ったのは……、まあうん、今はそれどころじゃないよね。
ふう。
怖がるなあたし。
助けないと。
「あいつはゆき、君の事が好きなんだ」
「えぇっ?」
「はぁっ?」
意を決してさあこれからだ!って時に。
あ、あたしが好き……?
どういうことなの。




