25-11
どうにかあたしは自力で抜け出せた。
これでエレナやリゼットの居る方へ戻ればひとまずは解決!
……だったんだけども。
どういうわけか、あたしはその場にとどまった。
「よっしゃ!! ゆきが離れたぞ!!」
「みて、闇の姿が!」
リゼット指をさして何か言ってる。
ん?
どうしたっていうの……?
「ああ……、あああ……」
うそ!
今までエレナやリゼットの攻撃でもびくともしなかったのに、闇の足下がゆっくりと崩れていっている!
あたしを襲ってた闇も、何が何だかよくわかってないのか、ただうろたえているだけだ。
「リゼットさん!」
「ええ、今しかなさそうね。最後の魔法力、受けなさい」
確かに今なら、リゼットの攻撃でこの闇は消滅する。
結局救助は失敗になっちゃうけども、闇に飲みこまれた人はもう戻らないなら、仕方ない。
……と思ったけども。
「ちょっと待って!!」
別に止める理由なんて無かった。
正直自分でもなんでそうしたかは分からなかった。
でもあたしは、自分でも戸惑いながら闇へ再び近づいていき……。
「ゆ、ゆき……たん」
「私の事、好きでいてくれてありがとう」
「ゆ……き……たん」
「こんなあたしだけど、嫌いにならないでね」
崩れゆく闇の女の人の頬に両手を当てると、優しくキスをした。
「おい……!」
「なんてことを……」
当然、エレナやリゼットは慌てている。
自分もなんでこんな事をしたのか、論理的によく分かってない。
さっきだって、キスされたからピンチになってたのに。
でも。
ただ、こうしなきゃいけない。
こうするのが、今一番の最善策だって事を直感で気づいて、気の向くままやっただけだった。
「ふう……」
「…………」
ほんの少しの時間、くちびるを合わせ……。
あたしは、笑顔のまま闇からゆっくりと離れていく。
「ゆきたん……」
そして闇は、涙を一粒流すと崩れていき、残骸は光へと変わって天へと昇り……。
「まじか!」
「うそ……」
なんと、その光が集まると、ひとりの女の人になったのだ!




