25-6
「まさかあなたが来てくれるなんて、すごく嬉しい……」
「……手遅れだったようね」
闇がこっちに話しかけてくる言葉も意味不明だし、リゼットがぼそっと言った言葉もよくわからない。
どういう事なんだろう?
「えっ?」
「闇の中へ入った人は戻ってこないのは、闇に取り込まれてしまうからよ」
「大抵は跡形も残らないんだけど、稀にこうやって同化して意識と形を残す場合がある。余程強い思念を持たないとそうはならないみたいだけど」
じゃあ、今目の前に居るこのえっちい闇は、前は人だったってこと……?
うーん。
確かに面影があるといえばあるけども。
ここはアニメと同じ展開なんだね……。
「そして、そうなった闇は大抵強力な力を持っているわ」
「どのくらい……?」
「危険度レベルB、あるいはAかも」
えっと、確かBやAってベテランの魔法少女じゃないと厳しい相手とかだっけ。
ひええ。
それってさっきのわんこなんか比べものにならないって事だよね!
あたしやエレナじゃまず無理としても、リゼットでも勝てるのかな……?
もしかして。
「逃げるわよ」
「逃がさないよ? ゆきたん逃がさない」
やっぱりそうだよね!
闇の中じゃ不利だし、ここは逃げるに限る!
って。
ちょ、ちょっと!
あたし名指しなの!!
「元になった人は、余程あなたの事を思っていたみたいね」
「う、うん」
「彼女はきっと、あなたを手に入れられれば満足するわ。どうする? 残る?」
「ええええ! そんなあ!」
「冗談よ。しんがりはわたしがやる、みんなは逃げて」
ほっ、驚いたよ。
と、ともかく今は逃げないと。
「逃がさない……。絶対に逃がさない……」
ひええええ。
おいかけてきた!
でもあたしの事をここまで思ってくれているんだよね。
うーん、これがヤンデレって奴かな。
いやいや今はそんな冷静に分析してる場合じゃないよ!
急いで逃げなきゃ!
うわん、こわいよう!!




