25-3
翌日。
「さあ、全員集まったわね」
闇の中へ行くっていう緊張はエレナのおかげで大分マシになった。
でもあれから寝相の悪さに悩まされてあんまし寝れなかった……。
でも、気合入れないと!
「あなた達、変身しちゃいなさい」
「おう」
「はーい」
ふたりとももう魔法少女の姿だった。
あたしとエレナは……、とっても普段着だ。
変身しなきゃだね。
「いくぜ」
エレナは利き手を上へかざし炎を出すと、それを力強く握りしめた。
すると握った拳の隙間から炎があふれ出し、それらが帯状になって周囲に広がるとエレナの姿を包んでいき、炎が爆ぜると同時に魔法少女の衣装へと変化していったのだ。
おお、すごい……。
今まで一瞬で変身してたのに、ちゃんと変身シーンみたくなってる!
も、もしかしてあたしが言ったからかな……?
うーん、かっこいい。
やっぱエレナ決まってるなぁ。
って、見とれている場合じゃない。
あたしも変身しなきゃ。
「目覚める白雪の純粋な思い!」
あたしはあらかじめ決めていた口語を言い放つと、意識がふっと遠くなっていき……。
「えへっ、エステレラだよ☆」
気がつくと、変身を終えていた。
よし、今日も決まった。
エレナやセフィリア以外の人の前に見せるの初めてだから、ちょっと照れくさいけども///
「あなた達……」
リゼットは怪訝そうな顔でこちらを見ている。
「なんだよ」
「あ、は、はい」
あ、あれ?
駄目だったのかな……?
みんなああいうのやらないんかな?
そういえば、エレナも初めて見せた時こんな感じだった。
「中々やるじゃない。いい感じよ」
と思ったけど、受けいいじゃん!
なんかめっちゃうなづかれてる……。
「自己紹介がまだだったな。私はベルナデットだ」
「リゼットよ」
「あたしはエステレラです」
「ヘルミーナだ」
うーん。
まだ魔法少女名が違和感あるかも。
そういえば、ベルナデットもリゼットも、本名あるんだよね?
どんなんだろう……。
そう思っていた時だった。
うわっ、エレナ急にくっついてきた!
ど、どうしたの。
「おい、もう学園長にばれてるからいいんじゃないか?」
「えっ? ああ、うん。そうだね」
なるほど、だからくっついて小声で話したわけだね。
確かにもう学園長は知ってるから、隠す必要ないんだよね。
でも、他の魔法少女はどんな反応するんだろ。
大丈夫かな?
「俺らは本名で呼び合ってる、こっちがゆきで、俺はエレナだ」
「ふーん、わかったわ」
「了解した」
あれ?
意外と何事もなかった。
まあ、これから闇の中へ向かうって時にそんなこと気にしてられないよね。




