24-1
それから数日後。
聖百合教本部の会議室内にて。
「ゆきさん、エレナさん、次の本の発売日が決まりました」
「おー」
「おお!」
部屋に呼び出されたから何かと思ったら、ついに新刊発売されるんだね!
そういえば、魔法少女になってから初めてだっけ?
今回もたくさんの人が読んでくれるといいなぁ。
「2日後です。しかもこれは一般販売ではありません」
「ん? どういう事……?」
「教徒限定! 先行販売です!」
えっ。
まさかのプレミア販売?
これは予想してなかったよ!
「んなめんどくせえ事せず、さっさと売っちゃえばいいだろ?」
「そうではありませんよエレナさん! 今ではゆきさんの本は聖典として教徒だけではなく、それ以外の人からも恐れ敬われているのです!!」
そりゃ、中身は百合本だからね……。
でもそんな仰々しい事になってるなんて。
いやまぁ、ありがたいんだけどもなんかこの世界って変だなーというか、なんというか。
「そして今回の限定販売で一気に教徒を増やし、この流行を一気に広めていくのです!!!」
「お、おう……」
「そう知れば、教徒も一気に増えて我々聖百合教はさらに盛り上がる事間違いなし!」
「そ、そうか」
「もちろん、それでは新規顧客の獲得が出来ませんので、後に一般販売はします」
「商売っていろいろ大変なんだな」
なんか販売戦略まで考えられている……。
あたしも売り方いろいろ考えてやってた時期あったけども、さっぱりだったからね。
今回は世界は違えどプロの人がしてくれるみたいだし、上手くいくといいけども。
「よろしいですか? 教祖様!」
「う、うん」
「それでは、2日後よろしくお願いします」
というか、商人ギルドの人。
めっちゃ圧すごい。
鼻息ふんふんしながら部屋から出て行ったし……。
「……気合入ってるな」
「……そうだね。ちょっと怖かったかも」
エレナだって終始押され気味だったね?
「ゆき、また即売会やるだろうから俺らも構えておかないとだな」
「うん」
そっか、確かにそうだよね。
備えておかないと。
今度は何のトラブルも無いといいなあ……。




