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というわけで、ミカエルが考えてきたルールに沿って、勇者の手記の解読に取り掛かった。
……わけだけども。
「うーん、意味不明な単語だね」
「なんだこれ……」
「あらあら」
それでも解読には至らなかった。
「他の方法を試してみましょう」
「ミカエルさん、他の解読方法も?」
「ええ、あと20通りくらいは」
「そんなにあるんかよ!」
「おい、ミカエル様が考えて下さったのだぞ。なんだその物言いは」
というわけで、その20通りの解読方法も引き続き試してみた。
……わけだけども。
「うーん」
「これでも分かりませんか……」
「やっぱり、ただの日記なのかも?」
「本当にそうかもしれません」
い、意外と諦めが早かった。
まあでも、そうだよね……。
解読方法全部試しても、何も無かったもの。
「まー勇者が、身内同士で仲良くしている日記を隠したかったってだけだろーな」
エレナの言う通りだよね。
普通、誰が好きとか誰と仲良くしたとか、そんなの隠しておきたいもの。
伝説の勇者だから、隠し場所もそれなりのスケールだった……のかもしれない。
にしても、期待外れというか。
ちょっと残念だったなあ。
「…………」
あれ?
セフィリアがずっと手記を見ている。
「セフィリア?」
「え、あ、はい」
「どうしたの?」
「ええ、ちょっと気になる事がありまして」
むむ、表情が真剣だ。
何か分かったのかな?
「確かにこの勇者の手記は、勇者とその仲間たちの仲の良さが書かれております」
「そうだな、それが何かあるのか?」
「それが答えになっているのかと思いまして」
「……どういうことだ」
「たとえばこのページのこの文章、”勇者は戦士と手を繋いだ、すごく胸が高鳴った”という翻訳結果に相当する部分なのですが……」
「ほおほお」
「こうやって、直接的な触れ合いがある文章を抽出していき……」
セフィリアはページをめくりながら、別の紙に文章を転記していく。
「うーん、やっぱただの文字の羅列だな」
「だよねえ……」
「む、そうでもありません。たとえばこの文章、ここをこうやって繋げあわせると……」
そしてその転記した結果を元に、ミカエルは文字を並び替えていく。
”(ミミズがのたうったような文字の集まり)”
「それを翻訳すると……」
さらに並び替えた文字の翻訳結果を、紙へと書いていくと……。
「おい、これって……」
「えっ、うそ」
おおお!
なんかそれっぽい単語になった!!
「ネオ・ユリバース……?」




