3-4
こうしてあたしの学生生活は始まった。
舞踏会翌日の朝。
「う、うーん……」
あたしは眠気で重い体にむち打ちつつも起き上がり、朝食用に用意されたパンを加えながら支給されたセーラー服に袖をとおして朝の支度を終えると、今日の授業がある中庭近くの部屋へと向かう。
道中他の学生にもすれ違ったけれど、魔法少女を育成するだけあって女の子ばかりだ。
「…………」
あたしはふと、昨日起きた学園長の悪ふざけを思いだしてしまう。
可愛い顔があんなにも近くて……。
同人本でしか無かったシチュエーションがあって……。
…………。
…………。
な、なに朝っぱらから考えているんだ!
いけないよ!
はぁ、なんで一人でドキドキしちゃってるのあたし。
そんな今までに感じたことの無いもやもやを抱きつつも、授業が行われる部屋に到着すると、空いていた椅子に座る。
たいした時間をおかずに始業開始の鐘が鳴ると、部屋には眠たそうにしているツインテールの幼女が入ってきた。
「うにぅ……」
やだ、すごく可愛い。
水色のワンピースなんだけども、ふわっと大きなパフスリーブとか、燕尾状のスカートとか、フリフリと襟とかエプロンとかがとってもいい!
あれが魔法少女の衣装なのかな?
あたしもああいうのを着る日がくるのかな??
「私があなた達の指導役のフロリアンナです……。よろしくぅZzz」
ね、ねちゃったよ!!
先生がまさかの居眠り!?
だ、大丈夫なのかな……。
「あれが、現役魔法少女の最強候補の一人、氷魔法少女姉妹のフロリアンナさんか……」
「話は聞いてたけど、実際見るとやっぱりすごい……」
「魔法力がびりびり伝わってくるわ……」
あたしには、どうみても可愛い幼女にしか見えない。
あれ、シスターズって事はもう一人いるんかな。
「うにぅ……、じゃあさっそく授業はじめます」
おお!
いよいよ魔法の授業が始まる!
何をやるんだろう、やっぱり呪文の詠唱とかかな!
出来ないの分かっていても、なんかわくわくしちゃうね。
「中庭で一人ずつ歌ってください」
へ?
うたを……うたう……?
魔法と……関係ない……?