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「ん?」
「どうした?」
壁を触りながら歩いていた時。
あたしはある物を見つけた。
「ねえ、エレナ。これってなんだろう」
それは、不自然な形をしたくぼみだった。
人の手にも見えるけども……。
「手形っぽいな」
「うん」
明らかに小さい、小柄なあたしでも入らないや。
こんなの子供とかじゃないと無理だと思うけども。
子供……?
「学園長か? あの人小さいだろ」
そうだよ!!
あの人見た目ロリだからいけるよ!!
「……なるほどな。そうなるとやっぱこの先に何かあって、学園長はそれを隠しているな」
学園長がこの先に何かを隠しているとして。
それって一体何なんだろう?
セフィリアはミカエルが不審がってたけども、不審がるって事は怖い事とか恐ろしい事なんだよね?
確かにあの人、よくわからない部分があるし、魔法少女にこっそり魔法かけたりしてるけども。
でもそれって、話で聞いた感じだと私利私欲でやってるわけじゃないような。
だから……、まぁこの世界の習わしというか、仕方ないというか。
そこまで気にする必要あるのかなー?
わざわざ暴いてどうするんかなー?
そう思っていた時。
「そろそろ出るぞ」
「えっ? ここまで来たのに?」
「学園長が動き出した、このままだと見つかる」
えっ、まずいよ!
ばれちゃう!
今はもう学生じゃないから、どんな処罰が下るかわからないし、人心操作の魔法で何されるか分からないし……。
それにしても……。
「よく分かるね」
「依頼達成時に学園長の執務室行っただろ? あの時にちょっと魔法で細工しておいた。ばれるのは時間の問題だがな」
いつの間に!
エレナって実はすごいよね……。
というわけで、あたしとエレナは早々に秘密の部屋を出て、鍵もそれっぽく元通りに戻した。
学園内の資料室にて。
「さてどうするか、あの部屋の先には絶対に何かあると思うんだけどな」
学園長があのタイミングで動いたって事は、あの部屋に入った時点でばれているって事だよね。
しかもまた学園長が直々に来たわけだし。
そこまでするくらいなら、何もないって事はないけども……。
「うーん。他に道はないのかな?」
「しいて言うなら、学園の外にある水路から入るか……くらいだな」
机の上に広がった学園の見取り図を見ると、エレナの言う通り秘密の部屋がある場所と水路が交わっているんだけども。
こんなところから入れるのかな?
というか、そこまで厳重なら水路からの道にも何か仕掛けがありそう。
「水路探索する?」
「そうしたいが、これ以上学園長にばれたらまずいかもな。今回はやめとくか」
「う、うん」
そうだよね、あたしもそうするべきだと思うよ。
でも、いつも細かい事気にせず突っ走るエレナがここまで慎重になるなんて。




