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「ちょっとついてこい」
「えっ、う、うん」
エレナは何か思い立ったように、さっさと歩いて行ってしまう。
あたしはそんなエレナに理由も聞けず、ただ何となくついていく事になり……。
都から離れた森の中にて。
「確かこのあたりだったんだがなー」
ねえ、都から随分離れちゃったよ……?
こんなところに何かあるの?
探している物って火山の洞窟に居る奴から採取するんだよね?
とても居そうな雰囲気じゃないと思うけども。
「おお、あったあった」
あったあったって、家……?
しかも壁がツタまみれだし、石壁は所々ヒビが入ってるし。
すごく廃屋っぽい感じがするけども、まさかこんなところにあるの……?
「ね、ねえ。ここは?」
「入れば分かる」
ああっ!
エレナ勝手に玄関の扉開けて入っちゃったよ!
待ってー!!
森の中の家内にて。
「ね、ねえ。こんなところに住んでる人いるの……?」
エレナを追って入ってきちゃったはいいけども。
なんか薄暗いし、じめじめしてるし、変なにおいしてるし。
「おーい! 居るかー?」
やっぱり誰かいるの?
ヒッヒッヒ!って高笑いしながら、大釜で怪しげな薬つくってる魔法使いとか出てきそう。
ひえ、あたし生贄にされる……!
「やかましいぞ。……なんだ君か」
と思ったけども、あれ?
意外と普通の女の人だ、しかも美人かも。
フード付きのローブ着ているから、魔法使いの人かな。
良かった、怪しげな人じゃなくって。
「久しぶりだな!」
しかもお互いに見知った仲って感じだね。
エレナにこんな知り合いがいたなんて。
貧民街時代に知り合ったとかかな?
「どうした? 首席になった報告をしにきたのか?」
「いんや、なれなかった」
「ふん。甲斐性の無い奴め」
しかも、MA学園の事も知ってる。
ということは、……いつの間に知り合ったんだろう?
こっそり手紙とか出してたのかな?
マグパがあるくらいだから、魔法で通信してたとか……?
「そこの娘は?」
「あのっ、ゆきです! エレナの……妻です///」
自己紹介で思わず言っちゃったけども。
や、やっぱりはずかしいなあ!
でも、嘘じゃないし……///
「その手袋……、ゆき……、妻……。あー、そういう事か」
しかも理解してくれたよ!
この世界、本当に同性婚はありなんだね……。
おっけーとは言われたけども、やっぱり違和感ある。
「私はアルだ。よろしくな」
「はいっ!」
「で、今日は何しに来た?」
「”赤熱蝙蝠蛾の鱗粉”っていうのを探している」
「あるよ」
まさかエレナ、ここにある事知っていて……?
おおおお!!
やったよ!
これで依頼クリアじゃん!!




