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そんなわけで、いきなり学園長のところへ向かう事になった。
あたしは何度も止めたんだけども、エレナは行く気満々だし……。
結局、そんなエレナを止める事も出来ず、かといってひとりにする事も出来ず。
そしてMA学園の執務室に到着してしまった。
「お久しぶりです。依頼を受けて下さったのですね」
学園長はいつも通り部屋の中にある花に水をやっていた。
執務室とか、卒業者が学園にすんなり入れたのはちょっと驚きだったけども。
「この材料を探してきて欲しいのです。詳細はこちらの紙に書きました、期日は14日程度でお願いします」
ジョウロを机の上に置くと、引き出しの中から1枚の紙きれをだしてきた。
あたしはそれを受け取ると、中に何が書かれているのかを見ようとした。
その時だった。
「なあ学園長」
「なんでしょうか、エレナさん」
エレナは少し意地悪な笑みを見せながら、ゆっくりと学園長の方へと迫ると……。
「魔法少女の気持ちを変えて、どうするつもりなんだ?」
「ちょ、ちょっと! エレナ!!」
顔と顔を近づけ、視線を合わせながらそう告げた。
「あとセフィリアを治してくれ、やったのはあんただろ」
「ひええ、そんないきなり……」
ふ、ふたりとも近い。
お互いにお互いの目をめっちゃ見てるし!
こ、これじゃ完全に不良の喧嘩だよ!
「何か勘違いしておりませんか? そんな力は私にはありませんよ」
「…………」
しかも核心に迫る事をこうもずけずけと言っちゃうなんて。
ああああもう!
もしも学園長が本気で魔法使ってきたら……、逃げられないどうしよう。
うわぁ、しかも気まずい雰囲気だし。
な、なにこれどうしよう。
「雰囲気が変わらないと思っていたので、変だとは感じておりましたよ」
「ああ、あいにくだが学園長の魔法は効かないな」
「おかしいですね、卒業式の時はそんな感じではなかったですが」
ひえ、エレナの圧はんぱない。
でも学園長も負けてない。
あたしがあんなんされたら、絶対涙目になっちゃうよー!
「…………」
「…………」
ね、ねえ。
何でふたりとも黙っちゃうの。
「…………」
「…………」
どうしよ、あたしなんか言った方がいいのかな。
うーんうーん。
あー駄目だ―!
何も思い浮かばないー!
「いいでしょう。お話ししましょう。ですがこの事実は王族の一部にしか知りません、他言無用でお願いします」
「ああ、分かった」
おお、なんか動きがあった!
ってそんな内緒の事話すなんて……。
どんな内容だろう?




