21-9
あたしは作家活動をしつつ、魔法少女の依頼もこなしていき……。
それから3日後。
王都内の噴水広場にて。
「結局何も無かったな」
「うん」
今日で依頼が終わる。
ちなみに何かあったかと言われると、驚くほど何もない。
いやまあ、何かあったら都の中に闇が居るって事だから、何もないに越したことはないけども。
指輪のお陰か、変身しても変な気持ちになる事はなかった。
エレナもいつも通りで何よりだね。
その指輪をくれたセフィリアなんだけども、依頼をこなす合間にお見舞いへ行ったんだけども、相変わらずあらあらうふふな状態だった。
ミカエルが言うには、魔法が強く解除までに時間がかかるらしい。
早く治るといいな、また3人で一緒に活動したいもの。
「んじゃ、報告しにいくか」
「そうだね」
というわけで、何も無かったことを伝えるべく、エレナとあたしは魔法少女ギルドへと向かった。
魔法少女ギルド本部、依頼受付カウンターにて。
「初依頼、お疲れ様です!」
ウェイトレス風のお姉さんがいつも通り、元気よく出迎えてくれた。
「じゃあマグパを渡しますので、少し待っててくださいねー!」
「ま、まぐぱ……?」
おっと、また新しい固有名詞が出てきたよ。
学校で習ったっけかな……。
「魔法少女専用の共通通貨、マグパです! はいエステレラさん、ヘルミーナさんどうぞっ!」
「こ、これって!」
受け取ったマグパ、これってどうにも交通系のICカードじゃん!!
なになに……、”MAgical Girl cUrrency PAss”って書かれている。
あぁ、それでMAGUPAってわけね。
あとマスコットなのかな、可愛い女の子のイラストも描かれてる。
きっとお姉さんが描いたんだろうなぁ。
やっぱうまい。
「へー、これがマグパか。話には聞いていたが初めて見ると意外と軽いな」
「魔法金属で作られた、ギルド渾身の逸品ですからね!」
いやあ、まさかこの世界にICカードがあるなんてねえ……。
「どうしたゆき?」
「えっ? いや、あたしが前居たとこにも似たようなものがあって、懐かしいなぁって」
「がーん、ギルド渾身の逸品が他の場所にもあったなんて!」
どうやらお姉さんは、この世界にしかないと思っていたようだ。
あたしもこんなこてこてファンタジーな世界でICカードあるなんて、驚きだけどね……。
「で、これどうやって使うんだ?」
「使い方は簡単ですよー、この水晶にマグパをかざすだけ!」
「おお、すごいな!」
いやほんとすごいよ……。
だってICカードの機械もないのに、同じことをやっちゃってるわけだよ?
どんな原理なんだろ……って、きっと魔法なんだよね。
うーん、魔法万能だ。
「水晶はこの都のお店ならほぼ全部に設置されていまーす!」
しかもどこでも使えるようにしているとか!
なんかもう……、なんでもありだー!




