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3-2

 ええい、迷っても仕方ない。

 どうせ逃げられるものでもないし!


「こ、これです……」

「中身失礼しますね」

「ふつつかものですが……」

 あたしは申し訳なさそうにメイド服の中に隠していた同人本を取り出すと、卒業証書を渡す時のように両手で学園長に渡した。

 学園長は笑顔でそれを受け取ると、ページをめくり無言で読みだした。


 …………。

 …………。

 …………。

 …………。


「なるほど……、あなたに感じていたものの正体が何となく掴めたような気がします」

 一体何が分かったんだろう……。

 百合好きとか、純愛がいいとかそういう事かな?


「でも、まさかあなたが……、これも私に課せられた罪、因果なのでしょうか……」

 なんかスケールの大きい事言ってるし、どこか遠い目してるし。

 ごめん、あたしついていけそうにない。


「現在のあなたはランクDと最低です」

「はい」

「ですが、めげる事はありません。これから精進し、立派な魔法少女となって世界を救ってください」

 なんかもう常識のように言ってるけども。

 魔法少女ってなに……。

 世界を救うってどういうこと……。


「あの」

「なんでしょう」

「世界を救う魔法少女ってどういう事でしょ? あと、どうしてメイド服なのですか?」

「この世界は闇に覆われようとしております。その闇を晴らす事が出来るのは十代の若き魔法使いの少女、すなわち魔法少女だけなのです」

 かなりやばい事言ってるのは分かるけども。

 な、なんかどこかで聞いた事あるような設定の方が気になる。

 いろいろと大丈夫かな……。


「他の武器とか魔法じゃ駄目なんですか?」

「ええ。聖剣の使い手(18歳男性)も、屈強な戦士(31歳男性)も、老練な魔導士(65歳女性)も、神託を受けた聖女(22歳女性)でも駄目でした」

 なんかすごいラインナップだ。

 確かに、魔法使いの女の子じゃないと駄目っぽいね。

 でも世界を救うかぁ。

 同人作家のあたしにそんな事出来るんかな?

 魔法も使えないし。

 精進しろって、……勉強したら使えるものなのかしらん。


「給仕の衣装はあくまで仮の衣装ですよ。舞踏会以降の学園生活はこの服で生活します」

 学園長がそう言い、何もないところからぽんっと出したのは、舞踏会会場に行くまでの道のりで、他の人が着ていた青色の襟に白いシャツのセーラー服だった。

 あたしはそれを受け取り、広げてまじまじと見つめる。

 よく見ると胸元のリボンがネクタイみたいになっていたり、金ボタンで装飾されていたり、左胸のポケットにMA学園のワッペンがついていたりしている。


「舞踏会では何故給仕の衣装なのかというと……、あの形が魔法力を大きさと性質を測るのにちょうどいいからなのです」

 さらっと言ってるけども、あのデザインじゃないと駄目な理由になってないような。

 まあいいや、あたしが聞いても多分わけわからないだけだよね。

 そこは何か事情があるんだろうね、うんうんそうだそうだ。


「さて……、話もひと段落しましたね」

「はい」

 今あたしが聞けるのはそのくらいかなぁ。

 まさか異世界から来たなんて言えないし、魔法の使い方は……後々教えてくれるといいけども。


 そう思いつつ、あたしは腰をあげようとした時。


「じゃあ……」

 突然、学園長が立ち上がるとあたしへ覆いかぶさってきたのだ!

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