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「簡潔にお伝えしますと、セフィリアさんは魔法によって記憶と人格の一部を変えられております。人心操作術ですね」
「そんな事出来るの?」
「ええ、授業でも習ったと思いますが……」
あれ、そんなのやったっけ。
全然覚えてないや……。
「でもよ、それって長続きしないんじゃないか?」
「その通りです。人心操作術は、あくまで制圧用の魔法として開発されたものであり、その効果はわずかな時間のみ」
確かにエレナの言う通り、セフィリアはずっとこんな状態だよね。
あたしだって、変身したら変な気分になっちゃうし。
「ですが、ある事をすれば効果時間を長くすることが可能です」
「ほおほお」
「どうするんだ?」
「魔法の力を宿した媒介を身につけておく事です」
「ほお」
ば、ばいかい……?
なんだろそれ。
エレナは何か気づいたみたいだけども、やっぱりあたしは置いてけぼりだ。
「エレナさんは理解したようですが、ゆきさんは分からないみたいなので説明します」
「う、うん。ごめんなさい」
「魔法の媒介にするには、蓄積した魔法力を発散させにくい材質である必要があります。代表的な物は宝石とか金や銀といった一部の金属です」
媒介が宝石とか金とか銀とかって、そんなのセフィリア身につけてないよ?
他にもあるんかな。
「セフィリア、そんなの付けてないと思うけども……」
「うふふふ」
「ええ、確かに宝石や金や銀はありませんね。ましてや宗教家の娘、度を越した華美な格好は出来ないでしょう」
「じゃあ、媒介って……?」
「先ほどもお伝えしました通り、蓄積した魔法力を発散させにくい材質であればよいのですよ」
いやだって、ミカエルが貴金属とかじゃないと駄目って……。
うん?
ずっと身につけていて、魔法の媒介になるもので魔法力を発散させにくい?
あっ……。
もしかして……。
「魔法少女の衣装……かな?」
「はい」
なるほど。
だから変身して魔法少女の衣装着ている時だけ変な気分になるんだね。
「この衣装は”受ける攻撃を魔法力で受けて傷を最小限に抑える”魔法が付与されております。受ける攻撃を魔法力で吸収、言い換えれば着ている人の魔法力を吸収し蓄積して必要に応じて発散させているという事なので、着用者本人の魔法力が尽きない限りは効果も続くという事です」
「ほおほお……」
「その衣装に、人心操作術が付与されているとしたならばどうでしょう?」
「効果がずっと続くって事……?」
「そうですね」
え゛っ。
それって……。
「じゃあ、セフィリアはこのままなの!」
そんな!
魔法少女やっている間、ずっとうふふな状態って事なの……?
「うふふふ、私は大丈夫ですよお」
いやいや大丈夫じゃないってば!!
うう、どうしよう。




