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ウェイトレス風のお姉さんから渡された紙には、こう書かれていた。
■依頼名
闇の中にある植物の採取
■内容
今後の研究のために闇の中にある草木の一部を採取してきて欲しい。
ほおほお……。
すごいそれっぽい感じだ。
で、こっちの紙はなんだろ……。
■依頼名
闇の中に飲みこまれた村人の救助
■内容
2日前に闇に飲みこまれ、逃げ遅れた人々を救出する。
これもそうなんだけど、闇の中に入るって事だよね?
入ったら即アウトってイメージだったんだけども、魔法少女だと大丈夫とかなのかな。
最後の1枚は……。
■依頼名
首都の治安維持
■内容
闇は結界で防いでいるが、稀に結界から漏れた闇が都内に潜入する事がある。
ただちに影響はないが、大事になる前に討伐して欲しい。
えっ、そんなん聞いてないよ!
ただちに影響はないって、闇ってそんな害虫みたいに入ってくるものなの……?
「さあ、みなさんには最初のお仕事としてこの中から選んでいただきまーす!」
初仕事かぁ。
うーん、どれがいいんだろ。
ゲームだと採取系って初心者向けって感じなんだけども、これってゲームじゃないから何が起こるかわからないし。
村人の救出は難しそうな雰囲気出てるから、出来るか不安だし。
都内の捜索も、探索する魔法とかあれば便利なんだろうけども、あたしそんなの使えないしなぁ……。
どうしよう。
「ゆき、治安維持やるぞ」
「ど、どうして?」
ってエレナ決断はやい。
でもなんでその依頼を受けるんだろう。
「治安維持の名目でミカエルに会えるだろ」
なるほど、確かにあたしたちがいきなり会ったら怪しいもんね。
あれ?
でもミカエルって、ランク10なんだよね?
そんな上位ランク者と都合よくあえるのかな?
「ミカエルが前線に出てたら……?」
「あ? お前知らないのか? 首席卒業者は魔法少女の中でも選りすぐりの王族親衛隊へ入隊するんだぞ? 親衛隊が前線に出るかよ」
「なるほど」
「でも、親衛隊っていうくらいだから、王様の近くにいるんじゃないかな? あたし王様がどこにいるかとか知らないよ?」
「確かに王様の居場所は分からないし、俺も会えるなんて思ってねえが、詰所の場所は分かっている。報告と新人の顔合わせを理由にいけば問題ないだろ」
なるほど……。
エレナすごい考えている。
なんか、いつもは力技で物事解決している勢いとノリのキャラって感じなのに、珍しい。
きっとあたしが頼りないからだね……。
「ったく、こういう頭脳プレイはセフィリアの役割なんだがな……」
「うふふふ」
エレナは渋い表情をしながら頭をくしゃくしゃと掻いていてたけど、この時もセフィリアは終始笑顔だった。




