表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/420

20-8

セフィリア視点。

 次に私が調べた事。

 それは学園長の謎を追っていく過程で出会った人物。


 その人物は、MA学園の卒業者であり私の友人。

 この聖百合教の教祖にして、今じゃすっかり時の人となったゆきだ。


 学園長を調べる過程で、ゆきについてもいろいろ調べた。

 MA学園は多くの魔法少女を輩出するべく、貴族や魔法使いの血筋は勿論の事、身寄りの無い少女達も集めて育成をしている。

 ゆきもそれにならって集められたひとりというのは、本人からも確認済み。


 ですが、それ以外の生い立ちは本人も不明との事。

 同じく彼女の友人であり、伴侶であるエレナさん曰く、貧民街での生活の時にショックで記憶が欠落してしまったという話ですが、エレナさんとは別の場所に住んでいたようで、結局彼女の過去を知る事は出来ませんでした。


 それはまるで、魔王の手から世界を救った勇者のように颯爽に、唐突に、何の前触れもなく……。


 おっと。

 私は報告書を書いているのでした。

 こんな表現は不要でしたね。


 ですが、今ふと思えば……。

 ゆきさんは勇者の手袋の力を使っている。

 グランドリリィ決定戦の魔法力表示も、古代文字でしたし。

 勇者とゆきさんの共通事項がいくつかありますね。


 勇者とゆきさんに、何か因果関係があるのでしょうか?

 いや、勇者は100年以上前の英雄ですし、魔王との戦いでその身を犠牲にした。

 ふたりが出会う事はまずありえない。


 そうなると……。

 考え方を変えてみて……。


 もしも、勇者とゆきさんが同じ力を持っていたとするならば……。

 勇者も同様に百合バーストを使えたと仮定すると……。


 百合バースト発動条件は、口づけと互いを思いやる感情。

 魔王軍を制圧する過程で、勇者は勇者パーティのメンバーと幾度も百合バーストを行ってきたはず。

 百合バーストをすればするほど、お互いの絆は深まっていく。


 パーティメンバーは勇者、魔法使い、僧侶、剣士……。

 勇者と魔法使い、勇者と僧侶、勇者と戦士……。


 勇者の力は単体でも魔王を凌駕していた。

 だから勝利は必然であり、間違っても身を犠牲にするなんて事をしなくてもよかった。


 それなのに、勇者と魔王は相打ちになってしまった。

 それはなぜか?

 魔王が本気を出した?

 決戦の時、勇者が不調だった?


 いいえ、そうじゃない。

 決戦時に、なんらかの妨害があった。


 何故邪魔をする?

 魔王の援軍?

 予期せぬ不運な出来事?

 違うそうじゃない、もっと何か確定的で……。


 でももしもそうだとすると……。

 まさか!!!


「そんな……! こんなことが……!!」

 あらゆる仮定と予測、過去の歴史、ゆきの登場、学園長の今までのふるまい。

 それらの先に導き出された”恐ろしき結論”にたどり着いてしまった私は、気がつくと自分の体を自分で抱きしめ、震えを抑えていた。


 そして、この”恐ろしき結論”をお父様やゆきに伝えないといけない。

 そう思うといてもたってもいられず、部屋を出ようとした。


「あなたは!!!」

 部屋には私以外居なかった、入るための扉には鍵もかけていた。

 魔法で無理矢理開けた様子は無かった。

 考察に没頭していたとはいえ、誰かが入ってきたら分かるはず!


 な、なんであなたが!

 どうして……、いや……、こないで!!!!!


 伝えなければいけない使命感が、恐怖に変わっていく。

 私の仮定が核心をついていた事を、認識させる。


 そんな感情を抱いた瞬間、私は意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ