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3-1

 こうして波乱?のランク付け舞踏会は終わり、あたしは個別に呼び出しを受ける事になった。


 他の入学者はこれから生活する部屋へ向かったみたいだけども。

 あたしは学園長に連れられて、彼女の執務室とやらに案内される事となった。


「失礼します……」

 恐る恐る中に入ったあたしは、部屋の中を見回してみる。


 私室の中は魔法に関する本がたくさん収められた棚が壁にずらっと並んでいて、ステンドグラスの窓からは七色の光が部屋中を満たしている。

 魔法使いの部屋というよりかは、教会の礼拝堂のようなイメージに近い。

 それから、学園長が仕事をするときに使う一際大きな机には、無数の書類とか魔法で使いそうな怪しげな形の草花とか。

 あとは……、なんだろう絵かな、写真かな。

 誰が映っているかまでは光が反射していて、あたしの位置からはよく見えないや。


「さあ、そこにお座りなさい。飲み物はハーブティで……、あら茶葉が切れているわね。ごめんなさいね」

「え? あ、はい。どうぞおかまいなく……」

 学園長はあたしが来ようともマイペースだ。

 間違いなくあたしよりも若い……というか幼いのに、ここまで落ち着いてるとは。

 とりあえず座ろう。


「早速ですが、どうして舞踏会で魔法を使わなかったのです?」

 学園長も対面の席に座ると、まっすぐこちらを見つめている。


 うぐっ、その質問来るかー……。

 うーんうーん、もうどうやっても誤魔化せそうにない。

 同人本を見せる作戦はー。

 ……やめておこう、これ以上のダメだしはあたしの心がもたない。


「ごめんなさい! 本当はあたし魔法使えません!」

「ふむ、おかしいですわね」

「へ?」

「他の学生は、ミカエルさんも含めて誰も気づいてらっしゃらなかったようですが」

「あの、なんの事でしょう?」

「あなたからは不思議な力を感じますよ」

 確かにあたしは、相手の魔法を受けても平気って力があるっぽいけども。

 それを学園長が見抜けないなんて考えにくいし……。


「試しにこれに触れてごらんなさい」

「水晶玉……?」

 学園長は、自分の机の上に置いてあった透明な水晶玉を、あたしの目の前へと運んできた。


「あなたの魔法力を測るものですよ」

「う、うーん」

 よくある異世界転生物だと、これに触ったらあたしが実は凄いみたいな展開なんだよねぇ……。

 でもなんかこの世界、あたしの思い通りにならないというか、予想の斜め上を行くというか……。

 ええい、まごまごしたって始まらない!


 あたしは恐る恐る水晶玉に手を当てた。

 すると間もなく、白色に少し水色が混じった光がぼんやりと出てきた。


「ほう……、なるほど」

 えっ、これで何がわかるの?

 あたしには全然さっぱりなんだけども……、なんだか一人で納得しちゃってるし。


「もういいですよ」

「あ、はい」

 しかも結果教えてくれないのね。

 でも学園長の反応から、そんなに凄いってわけではなさそうなのかな?


「あともう一つ……、舞踏会の間にあなたは何やら書物を出しておりましたね」

「うっ。は、はい……」

「それを見せてもらえませんか?」

「う、うーん……」

 やはり同人本作戦は見られていた……。

 とても誤魔化せそうにないし、うーんうーん……。

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