19-5
いやあ、まさか魔法少女の間でもあたしの作品知っている人がいるなんて。
学園でミカエルに駄目出しされてた頃が嘘のようだね。
「教祖様!」
「は、はい」
「教祖様はやっぱり2巻のカップリングが好きですよね? そうですよね?」
「……違う、1巻の方」
「えー! ブランディおかしいよー!」
「……違うもん」
しかもあたしの作品でどっちが良いか言い争ってる!
本当は止めるべきところだけども、くー!
なんか嬉しいなあもう!!
「あ、あたしはどっちもありかな?」
って喜んでいる場合じゃないや、お互いに引く様子は無さそうだし……。
「おお! 全て愛するって事だね! きゃー!」
「……///」
元気にはしゃぐパトリシアと、無言のまま顔を赤らめるブランディ。
うーん、どっちも可愛い。
次はこういうカップリングもありかもしれない……。
「それではパトリシアは巫女様、ブランディは教祖様を部屋へ案内してください」
「はーい!」
「……(こく)」
とまあ、本の内容を考えるのも大事だけども。
今は新居への案内が先だね。
荷物片づけて早く新しい生活出来る様にしなきゃ。
そう思ったあたしはエレナと離れ、ぬいぐるみを抱えたブランディの後をついていく事にした。
建物内の廊下にて。
あたしの部屋へ向かう道中。
「…………」
「…………」
元々口数が少ない子なのか、特に話しかけようとしてこないし、くる様子も無い。
「…………」
「…………」
うーん、なんかちょっと気まずいかも……。
何か話さないと。
「あの、ブランディ」
「……ん、何でしょうか教祖様」
「ま、魔法少女どのくらいやってるのかな~?」
「……学園の23期卒です」
えっと、確かにあたしが卒業したのは第27期だったかな?
という事は……。
えええ!
ちっちゃいし、明らかにあたしより年下だからてっきりそんな変わらないと思ってた。
ベテランさんだった……。
「こ、これからよろしくね」
「……(こく)」
ま、まあ学園長があの見た目で100歳超えているとかだし、ありといえばありなのかな。
フロリアンナ先生とかも見た目幼女だったし……。
意外と多いのかな?
この世界、見た目で判断できない……。




