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こうして卒業生は次々と衣装と名前を貰っていき……。
「以上で、本日の卒業式を終了します。皆様のこれからのご活躍、期待しておりますね」
全ての学生が魔法少女へとなると、学園長は笑顔でそう一言告げて壇上から去って行った。
それと同時に、他の学生は会場から次々と出て行った。
「卒業、おめでとうございます」
「うんうん、おめでとう。アルテミシア」
クラスわけは攻撃メインと回復メインでわけられている。
両クラスの卒業式だったので、あたしの友人の一人であり、十字聖教司祭の娘であるアルテミシアも当然卒業した。
アルテミシアにもいっぱい助けてもらったからなぁ。
あたしが改宗させられそうになったりした時とかね。
それにしてもアルテミシアの衣装も可愛い。
モスグリーンのロング丈なワンピースは、襟の部分に十字架の刺繍がされていて、大きなパフスリーブとか何段にも織られた姫袖とか、髪よりも長いベールをかぶっていたりして、すごく清楚な感じを出しているね。
「…………」
「どうしたの?」
でも、アルテミシアはどこかうかなそうな顔をしている。
どうして?
折角みんなで魔法少女になれたのに、なんでなの?
「ふたりとも少しよろしいでしょうか?」
「うん」
そんな表情のままそう言い残して、どこかへ行こうとする。
ついてこいって事かな。
なんだろ……。
あたしは疑問に思いながら、アルテミシアの後を追っていった。
学園を出て街はずれの場所にて。
「ねえどうしたの? こんな人気のないところで」
「そうだぞ。今日はめでたい日なのに、一体何なんだ?」
ヘルミーナの言う通りだ。
こんな日なのに、道中もずっと表情は曇ったままだった。
本当、どうしちゃったの?
「やはりそうでしたか……」
ねえ、何があったの?
あたし達でよければ、何だって相談にのるよ?
だから、困った事があれば打ち明けて……。
そう思い話しかけようとした時。
「はっ!」
アルテミシアは少しの間手を組んで祈った後、組んだ手を解いてあたし達へと向けた。
この時、あたしは何か突風なようなものを感じてしまうけども、気のせいかな?
「お気分はいかがでしょうか? エステレラさん、ヘルミーナさん」
「ん? あたしは大丈夫……」
「あ、あぁ。俺もだ」
えっ?
なにかやったの?
わからないよ……。
ってかあの……。
「でも、なんでエステレラなの? あたしはゆきだよ?」
「どうしてヘルミーナなんだ? 俺の名前はエレナだぞ?」
そうだよ、あたしはゆきだよ。
どうして名前間違えているの?
全然似てないし、どうしたんだろ。
「あっ」
「おっ」
どうやらエレナも同じことを思っていたらしい。
ってヘルミーナってなんぞや……。




