18-2
グランドリリィ決定戦で起きた怪現象の原因が百合バーストだったというのは、なんとなくだけども分かった。
それでもあたしは、まだこうすっきりしない感じがしていた。
そして学園卒業式当日。
「みなさん、ここまで長らくお疲れ様でした」
あたしのクラスメイトと回復専門のクラスの人らが、かつて舞踏会をやった部屋に集まっている。
全員で……、20人より少ないかな?
あたしもその中のひとりで、これから学園を卒業するんだよね。
「これからはこの世界の為に、闇と戦っていく事になります。それはとても厳しく、辛く、果てしない戦いです」
でも正直、何が何だか訳が分からないままだよ。
トラックに轢かれて異世界転生して、したと思えばいきなり戦わされて魔法少女見習いになって、百合バーストが使える様になったり、勇者の手袋で自分の力を引き出せるようになったり……。
「ですが、あなた方こそ、この世界に再び光をもたらす希望だと信じております」
こんな気持ちなのに、首席だもんなぁ。
「そんなあなた方に、これから魔法少女として戦う衣装を、学園から贈らせてください。最初に首席の方から、次は順不同で行いますね。それでは今期生首席のゆきさん、壇上へ来てください」
「はい」
「ゆきさん、卒業おめでとうございます」
「ありがとうございます」
あーもう!
こんなの違うよ!
やっぱ駄目だ、こんなんじゃ駄目だよ!!
「それでは、グランドリリィの称号とアリスを……」
「あの、ちょっと待ってください」
「どうしましたか?」
「あたし、グランドリリィを辞退します」
あたしは見ている人にも分かるくらいにはっきりと、明瞭で、しっかりとそう発した。




