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2-8

 ぶっちゃけ、50000だろうがそれ以上だろうか、あたしには関係なかった。


「さあ、構えなさい。正々堂々相手をしてあげますわ」

「その前に、これを読んで!!」

「何を言っているの?」

「いいから!! 読んでから勝負だ!」

 そう、魔法力の数値なんて関係ない。

 さっきと同じ様にあたしの同人本を読ませて、気持ちを揺さぶってやるしかない。


「何の魂胆かは分かりませんが、いいでしょう。ですがわたくしに呪いは通じませんわよ? もっとも、あなたの魔法力では使えませんでしょうが」

 いちいち腹立つねこの人……。

 というかやっぱり読むんだ……。

 いやまぁ、ありがたいけどね……。


 と、ともかく、あたしの作戦通りだ。

 ふっふっふ。

 さあ、あたしの作品を読んで動揺するがいい!


 …………。

 …………。

 …………。

 …………。


 さっきの女の子みたいに動揺して戦いどころじゃなくなる!

 ……はずだった。


「ふぅ……」

 あれ、なんでそんなに落ち着いているの。

 そこは顔真っ赤にして、恥ずかしくなったりするところだよ?


「わたくしは今まで様々な名画や詩を見たり、読んだりしてきました」

「う、うん……」

 なんか急に自分語り始めてる……。

 そういえば名家だっけか、英才教育ってやつかも。

 あたしには関係ないけどね、マウント取りたいだけかな。


「場面ごとに絵を変えていき、それらが時系列になっている。斬新なアイデアだと思いますが……」

 あーそっか。

 異世界に漫画という概念がないから、そういう見解なんだね。

 あれ、意外と好感もててる?


「なんなんですかこれは! 全く以て駄目です!!」

「ええええええ!?」

「ただ婦女子が不埒な行為をするだけ! やまなし! いみなし! オチもなしっ!!!」

 がーん……。

 まさかのダメだし……。

 しかもやおいセットとは……。


「これを読ませてどうするつもりだったのです?」

「いや、その……」

「まさかわたくしを動揺させようと?」

 うぐっ、ばれてる。


「はぁ、いろいろと期待外れですわ」

 動揺出来なかった衝撃も大きいけれど、純粋に読んでくれた結果の辛辣な感想のほうが、あたしの心に堪えていた。

 うう、胸が痛い。

 これでも同人歴そこそこあるのに……。


 もしかして、さくやとあたしの差はそこなの?

 ジャンルとか趣向じゃなくって、内容の差……?


「これを受けてあなたの家へ帰りなさい。 シャドウ・エクスターミネーション!!」

「ひぃいい!!!」

 って今は自分の作品を分析している場合じゃない!

 めっちゃ杖にエネルギー溜めているし。

 はわわわわわわわ、どどどどうしよう!!!!

 作戦は失敗だー!

 もうおしまいだあああーー!!


「そこまでです」

 このまま美人さんの魔法を受けてアウトと思いきや……。

 壇上から舞踏会会場全部に響くくらいの大きな声が聞こえてきた。

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