17-1
翌日、試験3日目。
学園内、試験場にて。
「皆さん、揃いましたね」
出場者4人が全員揃うと、学園長はその4人を見回し深く頷きながらそう告げた。
「グランドリリィ決定戦も本日が最後となります」
いよいよ試験も最終日……。
長かったような、短かったような不思議な感じだね。
「現在の成績は、ミカエルさんとゆきさんが2勝、エレナさんとウィーンさんが2敗」
ほんと、この結果も不思議だよ。
あたしなんて全敗街道まっしぐらだと思ってたのに。
まさかミカエルと同じ成績だなんてね……。
勇者の手袋やっぱ偉大だ、見つけてくれたエレナやセフィリアには感謝だね。
「学園長」
「はい、なんでしょうか」
「俺はもうグランドリリィに選ばれねえ、今更ウィーンと戦っても意味はない。だから棄権でいいか?」
学園首席にのみ与えられる称号、グランドリリィ。
確かにここでウィーンかエレナ、どちらかが勝っても1勝にしかならないんだけども……。
「同感だな、魔法力の無駄遣いはしたくない」
「相変わらず腹立つなお前……」
「パトロンカンファレンスに影響があるかもしれませんが、よろしいです?」
これって貴族の人たちも見ているんだよね?
だったら、成績だけが理由じゃないと思うけどもどうなんだろ。
「私はミカエル様に仕える者、それはこの学び舎を卒業しても変わりません」
なるほど、確かにウィーンはミカエルの従者だから、貴族に選ばれる必要はないわけだ。
あれ?
じゃあそうなると、ここ卒業して魔法少女になってもミカエルとずっと一緒って事なのかな?
魔法少女になって、後援者つければお金だって稼げるようになるはずなのに。
ミカエルの従者やってるのって、お金目的以外にもあるんかな。
「俺にはゆきが居る。あいつを守るのが俺の魔法少女の使命だからな。今更貴族に用はない」
!!!
ゆきを守るって!!
きゃーはずかしい///
そうなんだよね、もうエレナはあたしの……///
「分かりました。それでは本日の戦い、事実上のグランドリリィ決定戦であるミカエルさんとゆきさんを始めます」
おっと、今は赤面している場合じゃない。
そうなんだよ、ミカエルと戦わなきゃなんだよ。
うーん、普通の状態でも魔法力が高いのに、なんちゃって百合バーストのおかげでさらに高くなるんだよね……。
勝ち筋……、何かあるかな。
うーんうーん。




