16-8
「うーん」
エレナはまるで引く気が無い。
あたしは棄権出来ない。
でも、エレナじゃあたしを傷つける事は出来ない。
あたしはエレナを傷つけたくない。
なにこれ!
詰んでるよ!!
「どうした! 来いよ!! 同情なんていらねえ!!」
エレナ、そんなやけくそにならないで……。
あたしも考えるから……。
何か、何かいい方法が……。
全員が幸せになれる答えがあるはず。
それを考えて、見つけて……。
…………。
…………。
…………。
…………。
ああああ!!!
だめだ~~!!!
こんな時なのに百合本の事しか思いつかないよー!
なんて不謹慎、空気読めないのあたしのあたま!
いや?
百合本?
こたえが……、……あったかも!!
「エレナ!」
「なんだ?」
そうだよ!
あたしは百合本を描く作家なんだよ!
だったもう答えはひとつしかないよ!
恥ずかしがらないよ、決して後悔もしない。
自分の気持ちに素直になろう!
すぅー……。
「あたしと結婚しよう!!!」
「へ?」
「あたしの結婚しようよ! エレナー!!」
「はぁぁあああ!?!?!?!!?!?!?」
「あたしはエレナが好きなんだ!!」
「ちょっ、お前!! 何わけのわからん事言ってるんだよ!! 馬鹿じゃねえの!!!」
「馬鹿でもなんでもいいよもう! あたしは自分に正直に生きるもん!!」
「意味わかんねえよ!! だいたい、そういうのはこんな場所で言うもんじゃねえだろ……///」
「うっ、それはまぁそうだけども……」
「……てかお前、それで俺を動揺させるつもりか?」
「ううん、違うよ。本気だよ」
胸がすごいどきどきしている。
心臓が爆発しちゃいそう。
体も熱いし、なんか目の前の潤んできちゃって。
「あたし、エレナが好き。ずっと一緒に居たい」
それでも、エレナの方を向いてしっかり伝えたい。
あなたの事が好きって。
「ば、ばかやろうっ///」
「大好きなエレナと戦いたくないの」
最初はちょっと乱暴だけどいい人くらいだった。
でも、一緒にすごしていくうちにだんだん気持ちが変わっていって。
今はあなたがすごい好き。
「それに、ふたりで力合われば、エレナの残された家族の生活だってきっと大丈夫だろうし……」
「……じゃあなんだ? 俺と俺の家族全員の面倒を見るっていうのか?」
「そ、そうだよ!!! だってエレナが好きなんだもん!!!」
「だから連呼するなって///」
そ、それにさ!
あたしの作家活動で稼いだお金!
まだ全然もらってなかったけども、あんだけ売れればきっとすごい金額だよ!!
そうすれば、パトロンをつける必要もないよね?
……それにさ、エレナの他の誰かのとこ行っちゃうの、いやだもん。
「はぁ、全くお前ときたら……」
エレナは杖をゆっくりと下ろし、構えをといていく。
「俺は俺と家族の食い扶持の為に魔法少女になろうとしてきた。今もそれに変わりはねえ」
「エレナ……」
うん、知ってるよ。
だからあたしも一緒に守るよ、手伝いたいの。
「ゆきは家族だから、守ってやらないとな」
「エレナ……!」
「学園長、俺はこの戦いを降りる」
「勝者、ゆきさん」
こうしてあたしとエレナの戦いは、あたしの結婚宣言によって終わった。
ミカエルとウィーン、エレナとあたし。
それぞれがそれぞれの絆を確かめる戦いになったわけだね。
……きゃー!!
戦い終わったら急に恥ずかしくなってきたよおお!!!
みんなの前でここここここ告白とか///
やーん///
恥ずかしいぃ……。




