16-7
「ふっざけるな!!!」
「え、エレナ……。おちついて……」
ひええ、エレナめっちゃ怒ってる。
別にあたし何もしてないのに……って、何もしてない上にノーダメージだったから怒っているんだね!
いやいや、どうしろと……。
「ならこれでどうだ!!!」
「ひっ」
げげ、これって円形闘技場でリゼットと戦った時の魔法!
杖にめっちゃ魔法力溜めて、相手にぶつける奴だ!!
うう、まさかあたしが受ける役になるなんて。
「いけえええ!!!!」
こ、こんどこそ防がないと!!
えっとえっと……。
あ、そうだ!
勇者の手袋!!
これって魔法力を具現化するとかなんとかだった!
それなら、剣以外にもなるはず。
例えば盾とか、そうだ盾を出そう!!
いでよ盾、でろでろ盾……。
いけないっ、間に合わないよお~!!
…………。
…………。
…………。
…………。
「はぁ、はぁ、どうだ? やったか?」
確かにあたしはまともに受けた。
実際に目の前が眩しくて何も見えなかった。
痛みはないけども、攻撃は効いているんだって実感はあった……んだけども。
エレナ:41000。
ゆき:550000。
なんでよ!!
あたしの魔法力1も減ってないよ!!!
「お、おい……。俺の魔法が効かない……のか」
あの大魔法使って全く無傷じゃ、そりゃショックだよね。
で、でも別にあたしそんなつもりなくって!
うう、これじゃあ”あれ、また何かやっちゃいました?”みたいな、とぼけながらもちゃっかり結果残す主人公だよ……。
そんなやれやれキャラじゃないし!
生きるのとか必死だし!!
「ね、ねえエレナ。もうやめよう? ね?」
とりあえず、この戦いを終わらせないと。
魔法力とかそんな関係なくって、あたしは元々エレナとは戦いたくないんだよ?
そこは信じて欲しいなあ。
「うるせえ!!! 俺はな、ここでいいところ見せないと駄目なんだよ!!」
「エレナ……」
「ミカエル相手で散々だった、ゆき相手でも無力晒したらな、もう誰も俺のパトロンになる奴なんていねえ」
「…………」
「お前は作家でも教祖でも食っていけるかもしれねえけどよ。俺はこれしかねえんだよ!! 必死なんだよ!!!」
「…………」
そっか、ごめんね。
エレナはここで結果を残さないといけないんだったね。
確かにあたしには作家としての収入があるから、魔法少女として支援されなくたって大丈夫なんだよね。
それなら、あたしがやる事は……。
「ゆきさん、今回に限って棄権は認めませんよ」
うっ、学園長に先を越された……。
あたしがここで負ければ全て解決するのに!
なんなの、どうしてなの……。




