16-1
翌日。
学園内、試験場にて。
参加者と観客が全員揃っている。
もちろん、昨日魔法力が尽きて倒れたエレナもいた。
「エレナ! 元気になって良かった!」
「ゆきは心配しすぎだな。俺があんなのでまいるかよ」
初日は何だか考え事してたのか、すごい近寄り難い雰囲気だったけども……。
今はいつものエレナだ!
しかも魔法力も体力も回復してるみたいだし、本当に良かった。
「でもすごかったね、100万だよ! ミカエル超えてたよ!」
「あ? あ、あぁ……」
あの力は本当にすごかった。
きっと見えないところで魔法の練習とかしていたのかも?
「実戦で使えてたら勝ってたのに、残念だったねえ」
「あー、そうだな」
本当、惜しかったよね。
100万もあれば、ミカエルどころかグランドリリィ間違いなしだったのに。
「全員が揃いましたね。それでは、グランドリリィ決定戦2日目を始めます」
おっと、学園長が話し始めた。
聞かなきゃ。
今日はどんな組み合わせになるかな?
「本日の組み合わせはミカエルさん対ウィーンさん、エレナさん対ゆきさんです」
ついにきた……。
あたしとエレナが戦う時が。
「それではミカエルさん、ウィーンさん、準備をしてください」
魔法力ではミカエルの方が圧倒的だし、何よりもウィーンってミカエルのお付の者なわけだよね。
主従の間柄で戦うのはやり辛そうかも?
「学園長」
「はい、何でしょうか」
「私は棄権します」
まあ、そうだよね。
あたしがウィーンだったら、やっぱりそうするもん。
立場的にも、魔法力的にも。
「確かにあなたとミカエルさんの魔法力に大きな差があります。ですが必ずしも魔法力通りの結果になるとは限りませんよ」
「いえ、私は元々ミカエル様に仕える身。たとえ試験であったとしても、主人に刃を向ける事が出来ません」
じゃあ初戦はすぐ終わりかな。
あたしも準備しないと……。
そう思った時だった。
「よろしいですよ。ウィーンさん」
「ミカエル様!」
「あなたの力を測りたいと思っておりましたし、良い機会だと思います」
「……かしこまりました」
まさかのミカエルからの言ってくるなんて!
で、でも、魔法力が逆ならまだしも、こんだけ実力差があるんじゃ……。




