15-7
「エレナーーー!!!!」
いてもたってもいられない。
このままじゃミカエルに負けちゃうよ!
こうなったらあたしが百合バーストを使って……!
「ゆきさん、割りこむのはいけません」
「でも!!」
「あなたとエレナさんが深い仲である事は解っております。ですが、それでもいけません」
「うう……」
だって、負けちゃうんだよ!
しかも負けるだけじゃない、このままじゃ大けがしちゃうかもしれないのに!
何も出来ないの?
「なっさけねえな俺」
「…………」
「何も出来ねえ、本当情けねえ」
エレナの体が震えている、余程悔しいんだね。
そうだよね、このために頑張ってきた。
元々貧しくて、ミカエルみたいな裕福な人と違う。
魔法少女になって成り上がる必要があった。
だからずっと頑張ってきた、他の人よりも努力してきた。
それなのに!
結局才能の前には勝てない、夢が叶わないんだからやりきれないよね……。
だけど、”勝負の世界は無情”といわんばかりに、ミカエルは溜めていた魔法力を解き放った。
それはエレナへと直撃して……。
エレナは、まるで放り投げた人形のように大きく飛ばされ、そして地面へと叩きつけられてしまった。
「あ、ああ……」
「…………」
う、うそ……。
エレナ動かないよ……?
魔法力の表示は!!
ミカエル:538000。
エレナ:0。
そんな!!
エレナ、エレナーーー!!!!
「決まりましたね」
「勝者、ミカエルさん!」
あたしは勝敗が決まるとすかさずエレナのもとへ駆け寄った。
ぐったりしたまま動かない。
息はあるから死んじゃったりとかはしていないけども……。
うぅ、こんなんになるまで戦って……。
「エレナさんを治療します、ゆきさん離れてください」
「はい……」
学園長は治療の魔法に長けた人だ。
だからきっとエレナを助けてくれる。
そう信じつつあたしはエレナから離れると、学園長は倒れたエレナへ手をかざして目を閉じた。
その時だった。
「ん?」
「この気配……」
学園長は目を開くと同時に、とても険しい表情になった。
それと同時にエレナの全身からは、紫色の光を放出しだした!
「学園長、これは……?」
「確かにエレナさんの魔法力は尽きたはず」
エレナはミカエルにやられたはず。
あたしはエレナにちょこっと触れただけでキスもしてないから、百合バーストは発動してないのに。
何が起こってるの……?
ま、まさか。
あたしはすかさず魔法力の表示を見た。
「ね、ねえ! エレナの魔法力が!!」
「これは!!」
「そんな! 魔法力が!!」
ミカエル:538000。
エレナ:1020000。
えっ、何が起こっているの……?




