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「て、てめぇ……いきなり何しやがる」
倒れたエレナはすかさず起き上がり、そう叫ぶ。
この時、杖を握っていた手が震えていたから、かなり怒っているんだろうという事が分かった。
「雑魚が粋がるな、気安く話しかけるな」
「ぶっころす!!!!」
なにそれ、酷い言いよう……。
エレナものすごい怒ってるし、なんかすごい大きい光の玉作ってるし……。
ひ、あれ飛ばしたよ!
あんなの当たったらタダじゃすまないかも……。
「…………」
と思ってたけれども……。
褐色の女の子はそんなエレナの怒りと攻撃にも何ら動じず、冷静に空中で指を動かし何やら描いた後に、無数の光弾を生成しエレナへとけしかける。
エレナが放った攻撃はたった一発だ。
当然圧倒的な物量差によってエレナの攻撃は相手に届かず、逆に相手の攻撃を全てモロに受けてしまった。
「エレナ!!!」
なんかめっちゃ爆発してるし……。
すごい音だし……。
こ、これ大丈夫?
死んでない……?
「く、くそっ……」
やがて爆発がおさまると、そこには突っ伏したまま動けずにいるエレナが居た。
彼女の着ていた衣装はぼろぼろになっていて、今まで握っていた杖が遠くに飛ばされている事から、かなり凄まじい攻撃だったというのをあたしは察した。
それでも、エレナは諦めなかった。
動かない体をどうにか動かそうと何度も試み、離れた場所にあった杖を取ろうと這いながら移動をした。
「ふん、ならず者のお前には過ぎた代物だ。大人しく去れ」
だが、相手はエレナの健気な行為を全否定した。
なんと、褐色の女の子はエレナ本人ではなく、遠く離れていた杖に光弾をぶつけて破壊してしまったのだ。
「あああ!! エレナの杖が!」
「て、てめええええ!!!!」
この時エレナの目には涙があった。
当然だよ、大切な杖だったんだ。
だから悔しくて、屈辱的で、やりきれなかったんだと思う。
「馬鹿か? ここは魔法の学校だぞ?」
「く、くそ……が……」
褐色の女の子は、悔しがるエレナを見下したままそう冷たく言い放つと、今まで必死にもがいていたエレナはついて体力が尽きて動かなくなってしまった。
「エレナ!!!」
う、うそ……。
もしかして、死んじゃったの……?
「ちょ、ちょっとしっかりしてよおお!!!」
そんな!
そんなのってないよ!!
そりゃあ、エレナだってたくさんの女の子達をやっつけてきたけども!
ここまで酷い仕打ちを受けるなんてあんまりだよ!!




