表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/420

14-6

エレナ視点。

 散々怪しい怪しいと思ってきたが、ホイホイついてきてしまった……。

 俺は何やっているんだろうな。

 しかも結構遠くまで行くな、街から随分離れてしまったぞ?


「ま、気楽にしてくれ」

「お、おう……」

 招かれたのは、アルの家だった。

 玄関を通って入った部屋の中には何度も読んですり切れた本、魔法で使う植物や鉱物がそこらじゅうに転がっている。

 灯りも乏しいし、床には魔法陣が描かれている。

 いかにも魔法使いって感じだな。


「で、君は魔法力を強くしたいと言った」

「そうだ」

「どの程度欲しい?」

「……同じ生徒にすげえ奴がいる。そいつはランクBの闇を倒した。それ以上の力だ」

「ふむ、ならだいたいこんなもんか」

 机の引き出しから……、なんだあれ粉か?

 赤色と緑色の粉を出したぞ。

 で、それを混ぜて一体何をしている?


「さあ、これを飲め」

 いや、飲めって言われても。

 こんな不気味な物を飲むのかよ。


「なんだこれ?」

「準備だよ。それを飲んで、これから5日間魔法の修行をする」

「…………」

「飲んだら絶対に逃げる事は出来ない。どんな苦痛も苦難も全て受け入れないといけない」

「やっぱ怪しいじゃねえか!!」

 駄目だこいつ、やっぱインチキ魔法使いだ。

 岩壊したのもきっとまぐれだろ。

 時間の無駄だった、さっさと帰るか。


「なんだ帰ってしまうのか、意気地なしだな」

「なっ! てめえ!!」

 くそ、いちいち腹立つ奴。


「やってやるよ!! やればいいんだろ!!!」

 こんな粉で何が出来るっていうんだ?

 そんなに飲んでほしかったら飲んでやる。

 貧民街で食える物は一通り食った、こんなもんで腹壊れるかよ。


「さあどうだ」

「いいねえ」

 意外とさっぱりしているというか、すっきりしているというか。

 味もほとんどしなかったし、本当になんなんだ?


「……なんも起きないぞ」

「ふふふっ」

「な、なんだ。気味悪いじゃないか……うっ」

 やべえ、急に意識が……。

 くそ、やっぱ罠だった……か。

 うぅ……。


 …………。

 …………。

 …………。

 …………。


「……効いたみたいだな」

「…………」

 体が言う事を聞かない。

 俺は……どうなっちまったんだ?


「もう一度問う、何故魔法力が欲しい?」

「ゆきがミカエルやセフィリアにとられたくないため」

「……ほう」

 家族も大事だ。

 だけどゆき、あいつは取られたくない。

 俺はゆきが好きだ、ずっと一緒に居たい。


「君はマジックバーストを受けた事があるか?」

「ある」

「どのような手順を踏んだ?」

「ゆきにキスされた」

「それは本当か! なるほど、ソフィアめ……」

「…………」

「今の君に話しても記憶に残らないが、敢えて言わせてもらう」

「…………」

「君の願いをかなえてやる。大船に乗ったつもりでいろ」

「…………」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ