14-5
エレナ視点。
俺が一人でどうしようか考えていた時だった。
「む、誰だ?」
「なんだ、また君か」
木陰から来たこの女。
黒いローブ羽織っていて、先端の尖がった帽子をかぶっていて、いかにも魔法使いって感じだ。
俺より年上っぽい感じがするが……。
あれ、どこかで見たような?
他人の空似か、それとも気のせいか?
「誰だ?」
「自分の事を名乗らず、人に聞くのは失礼じゃない?」
「エレナ。MA学園の生徒だ」
「MA学園……? あぁ、ソフィアの居る……」
ソフィアって誰だ?
学園内に知り合いでもいるのか?
わけのわからん奴だ。
「で、お前は何なんだ?」
「あー……、そうだなー」
何で名前を名乗るのにそんなに考えている?
なんなんだこいつ。
「アルって呼んでくれればいい。しがない魔法使いやってる」
やっぱ俺の予想通りか。
人気のない場所に来たって事は、ひとりで研究でもしているんだろうな。
「ふーん。で、何の用だ?」
「それはこっちの台詞だよ。君こそ何をしているんだ?」
「俺は、まぁ、その……」
「何を躊躇っている? 恥ずかしがりか?」
「ちげえよ!! 魔法の練習してたんだよ!! 俺にはもっと魔法力が必要なんだ」
「ほう」
そうだ、俺には魔法力が必要なんだ。
ミカエルに負けない魔法力が、ゆきの足手まといにならない魔法力がな。
だから、こんな魔法使いと話している暇はないんだよ。
「で、何日も魔法力の無駄遣いをしてたわけと」
「はぁぁ!? お前喧嘩売ってるのか?」
なんだと!
しかもこいつ、俺の秘密の練習を見てやがったのか!
なんて奴だ!!
「私は年齢の都合、闇と戦うのは無理だ。だが魔法に関しての知識は人よりかはある」
「な、なんだよ」
いきなり自分語りとか、急になんだっていうだ?
ビビったのか?
「騙されたと思って、私についてこないか?」
「いや、ついてこないかって言われても俺生徒だし……」
てかまず怪しすぎだろ。
こんなんホイホイついていったら、何されるかわからん。
「そうか、勘違いしてるんだな? 別に生涯添い遂げろなんて言わん。5日あれば十分だ」
いや、期日の問題じゃねえよ。
ついていったら俺の体で好き勝手されるパターンだろ?
確かに強くはなりたいが、人間やめる気はねえぞ。
「さては、私の実力を信じてないな? ほれ」
いやいや、だからそうじゃなくって……。
なにぃ!
「まじか……」
お、俺が壊せなかった岩をあんな簡単に……。
マジかよ……。
「さあ、どうなんだ?」
相変わらず素性が知れねえ。
だが実力は本物みたいだ。
くそ、これはチャンスなのか?
悪魔との取引じゃないのか?
…………。
…………。
…………。
…………。
「……わかった。もうこうなったらどうにもでもなれだ」
「ついておいで」
だが今は魔法力が必要だ。
悪魔だろうがなんだろうが取引してやる。
ぱっと見人間だから、悪魔よりはマシだろう?




