14-4
エレナ視点。
MA学園から抜けた、誰もいない広場にて。
「…………」
意識を集中しろ、イメージを明確に持つんだ。
「…………」
他に何も考えるな、雑念は魔法の威力を弱める。
「…………」
心を強く持て、恐怖や焦りは禁物だ。
よし、感覚がすっとなってきた。
杖に魔法力が集まっている。
今ならいける。
「はぁっ!!!」
俺は杖を振りかざし、溜まった魔法力を解き放った。
渾身の一撃は目の前にあった俺の体と同じくらいの大きさの岩を破壊……。
「クソ、この程度か……」
してなかった。
岩には亀裂が入っただけだ。
俺の放った魔法力は塊はバラバラに散ってしまい、周囲を情けなく漂っている。
「こんなんじゃ駄目だ……、こんなんじゃ……」
グランドリリィ決定戦への進出が決まった。
俺はその日からこうやって皆に隠れて魔法の練習をし続けていた。
だが成果は出ず。
魔法力は一向に上がる事は無い……。
このままじゃ、ミカエルには到底勝てない。
実戦で見せた、あんなすげえ魔法を使われたら俺は一発でアウトだ。
そしてそれ以上に、俺が百合バーストを受けた時よりも圧倒的だったのが許せなかった。
何故だ?
あんな普段からお高くとまっていて、ゆきの事なんて何一つ考えちゃいない。
あの時だって、ただゆきの力を利用しただけ。
あれ以前もあれ以降も、ゆきに関わろうともしない。
それなのにどうして。
どうして俺よりあいつの方が強くなるんだ?
俺がしょぼいからなのか?
クソ……。
やっぱひとりじゃ限界か?
なら学園長あたりに相談するか?
いや、駄目だ。
ゆきにばれると、あいつの事だからきっと世話焼いてくる。
作家活動もあるのに、俺の面倒なんて見ている場合じゃないからな。
だが、このまま続けても成長しねえな……。
どうしたものか。




