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「もしかして、知らないのか?」
「えっ? う、うん……」
「……なら何のためにここに来たんだ」
そんな真顔で言わないでよ……。
あたしだって、異世界転生して何が何だかわけがわからないまま、ここに居るわけだからね?
「パトロンカンファレンスというのは、魔法少女の後援者を決める大規模な会議ですよ。卒業直前の魔法少女見習いは一部を除いて全員が参加します」
「一部を除いて?」
「はい、元々家が裕福な方は態々後援者を決める必要がないですし、グランドリリィ任命者は国王陛下が後援者となりますね」
うーん。
あたしにはどっちも関係なさそうな話だね。
ミカエルとかなんだろうなー。
「でもどうして後援者を決めるんでしょうか? 世界を救うために戦う魔法少女なのに」
至れり尽くせり!とまではいかないにしても……。
そんな経済的な支援をしてくれる人を見つけないと駄目なんて。
「魔法少女と言っても、私たちが確認している中でも100人以上はいますからね。国が全員の支援は厳しいのです」
なんかリアルというか、生々しい事情だ。
そりゃ、生活に必要な食べ物もいるし、ずっと戦っているわけじゃないから普段生活する家だって必要だよね。
魔法少女として活動するにも、武器とか可愛い衣装とか、あと怪我したら治さないといけないし。
うーん、もしかして魔法少女って意外とお金かかる……?
「貴族の中には、闇と戦った者やその人物を支持した者は名誉ある貴族と周知されますからね」
「だからパトロンカンファレンスが開かれるってわけかな」
「そうです」
なるほど、だいたい分かった。
だから闘技場で戦った時のリゼットは、パトロンのミカエルの父親に逆らえなかったってわけね。
あたしも見つけないといけないのかな……。
いい人見つかるといいんだけども。
「俺の家族は闇に飲まれちまったが、まだ残ってる奴らもいる。そいつらが安心できる世界を作りたいし、楽させてやりたい」
まさか家族の為に頑張ってたなんて!
そういえば最初に持ってきた杖も、プレゼントしてもらったんだっけか。
うう、なんていい人、イケメンすぎる。
「エレナ~、なんていい人なの~」
「おまっ、ちょ! 泣くな! そして抱きつくなよ///」
「今日も仲が良いですね」
こうしてあたしはエレナの胸を借りて泣いた後、学園長の執務室から出て行った。
帰りの道中でエレナと話しながらこれからの自分の行く末を考えた。
……どうなるんだろ、あたし。




