第二十四話 悔しさ
全てを話した。
悪魔のこと、そしてこの学園が悪魔を管理するための施設であったこと。
「そ、そんなことが……」
話の内容に、サラーサさんも驚きを隠せないようだった。無理も無い話である。
「あの、一つ……聞いてもいいですか?」
「……何だ?」
話すことは話したはずだ……これ以上何を……。
そんな疑問を他所に、サラーサさんは俺に問うた。
「話を聞いて……ことの重大性は理解したつもりです。けど、それでどうしてスパーダさんは悲しそうな顔をしていたんですか……?」
「……」
確かに、彼女の言う通りではある。
悪魔がこの学園に存在し、王都の人たちの命が危ないという事実。
それを度外視して、悪魔を軍事利用しようとしり、隠ぺい工作を図る王族へ向けている感情は『怒り』だ。
そう、悲しみではない、悲しむ理由は、本来ならば存在しない。
――――否、俺にはある。
「俺の夢は……最高の冒険者になることだ。そのために、今まで頑張ってきた。まぁ二年くらい停滞してたけどな……」
「は、はい」
「そして同じように、この学園の人たちもなりたいものになるために頑張ってる。この数日で……俺はそれを見てきた」
そうだ……俺と同じように、いやそれ以上に……皆頑張ってる。
誇りを以て、騎士になるために研鑽を積んでいるフライトやカレンを見れば……それは嫌でも分かった。
「それなのに、肝心の学園そのものは……ただの悪魔を管理する入れ物に過ぎなかったんだ」
「……」
「ふざけんなって、思ったよ。皆が夢に向かう手助けをするための学園が……昔の奴らの勝手で、邪な都合で作られてたんだ……!! そして、それを誰も知らない……!! こんなの、頑張ってる奴らへの侮辱でしかねぇだろ……!! だから悔しかった……悲しかったんだ!!」
全てを、吐いた。
「スパーダさんは、優しいんですね」
すると何を思ったのか、サラーサさんはそんなことを言い出したのだ。
「は……? 別に、そんなじゃねぇよ。俺はただ、頑張ってる奴らがバカにされてるのが……」
「はは、それを優しいって言うんですよ」
やっぱり彼女の言っていることは分からない。
まぁいい……。言うべきこと、というよりかは言わなくていいことまで言った気がするが、全ては話した。
これ以上の会話は不要だ。
改めて、俺はサラーサさんに向き直る。
「まぁいいや、話しを戻す……協力は必要ない。さっきも言ったが、相手は悪魔……危険な存在なんだ。アンタの命の保証はできない」
「いいえ、行きます」
……。
「話聞いてたか? もう事態は軽い気持ちで協力するなんて言える次元を超えてんだよ」
「違いますよ。事態を軽くとらえているつもりなんて、毛頭無いです。それに、軽く言っているつもりもありません」
「え……?」
「私は……このシュラインガー魔法学園の生徒として、皆がしっかり胸を張って夢に向かえるようにするために、スパーダさんに協力したいんです」
……あぁ、そうか。
彼女にとって、ここは俺以上に大切に思っている場所なんだ。
むしろ……俺の方が烏滸がましいくらいに。
――――自分を変えたくて、この学園も変えたい。
そこまでの気持ちがあるんなら、もう……俺が止めるのは野暮ってもんだ。
「サラーサさん……いや、サラーサ」
なら、こっちも向き合おう。
「は、はい?」
「……さっきは、悪かった。悪かったついでに一つ……頼んでいいか?」
「何でしょう?」
首を傾げる彼女に一呼吸置いて……言った。
「……俺に、協力してくれ」
すると一瞬驚いたような表情を作った彼女だが、
「最初から、そのつもりですよ」
そう言って、すぐに微笑んだ。
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小話:
この部分は本来ちょっと書いて次に行く予定だったんですがしっかりと説得力を持たせるためにここまで書かせていただきました。Part2




