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第十六話 友達

「なんか、ありがとうな。フライト」


 放課後、俺は改めて仲裁に入ってくれたフライトに礼を述べる。


「ん、何がだい?」

「いやさっきのだよ。ロズとの」


 だが、当の本人は先程のことを全く意に介していなかったようだ。

 俺の発言にフライトは合点がいったような表情を見せる。


「あぁ! 何だそんなことか! 別に気にする必要は無いさ!」

「気にするって、会って日も浅い俺に対して何でそこまで……」

「うん? そんなの決まっているだろう?」

「決まってるって……」

「決まっているとも! 僕と君は、もう『友』じゃないか!」

「……」


 フライトの言葉に対し、俺は自分でも分かるくらい可笑しな顔をしているのが分かった。

 

「おいおい、何だいその顔は? 鳩が豆鉄砲を食らおうとして食らえなかったような顔をしているよ」 

「どんな顔だよ!?」

 

 あまりに突飛すぎる顔面のたとえに俺はツッコまずにはいられなかった。


「って問題はそこじゃねぇや。何時から俺とお前が友達になってんだよ!? 急過ぎんだろ!!」

「はははは! 友情は突然さ! そこに理由なんて無いよ!」

「何だよそれ……」


 意味の分からない発言に、俺は困惑すら覚えた。


「フライトはスパーダに感謝してるのよ」

「へ……?」


 すると、カレンがそんなことを言い始める。


「フライトってほら、こんな性格だから相手と関わろうとしても、気味悪がって誰も寄り付かなかったの。けどスパーダはそうじゃなった。だからよ」

「……別に、フライトはそこまで変じゃないだろ」


 普段からゼノやリンゼと絡んでいる俺にとって、フライトは全然マシな部類だ。


「そういうところよ」


 だが、カレンはそう言って苦笑するばかりだった。


「あ、あまり変なことを言うんじゃないぞカレン! 僕はただ純粋に、スパーダと交友を深めたいとおもっただけだ!」

「はいはい。そういうことにしておいてあげるわよ」


 少し顔を赤らめるフライトに、カレンは投げやりな返事をする。


「そ、それよりもだ。状況はの深刻さは未だ変わっていないだろう? 決闘を受諾して、どうするつもりだスパーダ」

「どうもこうも、勝つしかねぇだろ」

「勝つとは簡単に言うが、ロズは強い。性格はあぁだが剣や魔法の腕は確かだ。俺たちの世代の中でもトップレベル。学内ランキングは一位だ」

「ランキング? あ、そう言えば最初に会った時言ってたな。何だそれ」


 俺は初日にフライトと会話したことを思い出す。


「学内ランキングとはこの学園内の騎士候補生の強さを示すものさ。番号が若ければ若いほどその実力は高い」

「へぇ、てことは確かフライトって六位とか言ってたよな。相当強いんじゃないか?」

「あぁ勿論その通り! 並みの……いや、上の下程度の騎士ならば僕の足元にも及ばないよ!」

「ま、こんな鬱陶しい性格してるのに実力だけはしっかりあるから周りから妬まれて距離を置かれる原因の一つね」

「おいカレン! さっきから上げた僕の株を片っ端から叩き落すんじゃない!」


 口を挟んだカレンにフライトは堪らず叫ぶ。


「ちなみにカレンは何位なんだ?」


 カレンが再び会話に参加したことで、俺はふと彼女の序列が気になった。


「四位」

「……」


 どうやら俺は知らず知らずの内に相当に強い奴らと知り合いになっていたらしい。


「くっ……!! いずれ必ず追い越す!! 見ていろカレン!」

「はいはい、気長に待ってるわよ」


 そんな二人のやり取りを俺はどこか微笑ましく見る。こうして共に切磋琢磨する仲間がいるのはとても良いことだ。

 ――――などと考えたが、俺はそこで我に返る。


「ていうかランキング一位って……。まぁ三大貴族に仕える騎士候補生なんだから、そうだよな……ていうか、体験入学生で騎士目指してるわけでも無い俺が、むしろ決闘なんてしていいのかって感じなんだけど……」

「それに関しては問題ないさ。決闘の制度に身分の違いは影響しない。加えて、体験入学生と言えど……今のスパーダはここの学生だ。今の君にはここの学則が適応される……それに」

「それに……何だよ?」


 言い辛そうに、言葉を詰まらせるフライトに俺は首を傾げる。


「いや、まぁ……あれだよ。僕や君は例に漏れず、上流貴族の権力でどうとでもなるってことさ……」

「あぁ……そういう」


 納得した。

 つまり、エリーザの権力があれば俺が体験入学生だろうと騎士候補生だろうと関係ないという話だ。

 現に、俺は彼女の陰謀によってこの学園に招待された。そして任命式や邸宅での振る舞いも目にしている。


 フライトは俺に向き直った。


「だから、僕は君に敬意を評する。騒動の渦中にいながら自分を崩すことないその姿勢と、ロズに対しあそこまで堂々と啖呵を切ったことに」

「いや……啖呵を切ったのはあっちの方で、俺はそれに乗っただけだって」


 何てことなしに俺が言うと、フライトは俺の両肩を掴む。


「フライト……?」


 肩から震えが伝わってくる。

 俺が肩を震わせているわけではない――――フライトの手の震えが、俺に伝わっているのだ。


「……死ぬなよ、スパーダ。危険になったら、すぐに逃げるんだ! 決闘のルールなど関係ない! それでどれだけ周りか侮蔑されようが、僕は君の味方だ!」

「……」


 ――――はは。


 思わず、笑いがこみ上げる。


 まさか会って間もない俺を友達として、ここまで考えてくれる奴がいるなんてな……。


「安心しろよフライト。俺は負けねぇ、絶対に決闘に勝って会場を沸かせてやるよ」


 ニヤリと笑い、俺は彼の肩を掴み返した。

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◇◇◇

小話:

決闘の制度は元々騎士が誇りを賭けた命の奪い合いでした。しかし年代を経て当人同士の決闘のルール変更が可能になったり、負けた相手に何でも命令できると言った要項が加えられました。

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