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第四十一話 次なる難局、査問会

いよいよ第一章最終局面です!

 王都へ帰る馬車の道中、俺はことの事情をシェイズたちに説明した。

 それは勿論、ゼノについて話すことと同義だった。


 最初はあまりのスケールの話に困惑していた彼らだったが、仮に俺の話を信用してもらえなかった所で後日あの巣に調査隊を派遣すれば全てが事実だと証明できる。

 時間の問題だ。

 だがそれは必要は無いようだった。


「何じゃ信じられんか?」


 ゼノの凄み、威圧を目の当たりにすることで信じてもらえた。

 こくして俺たちは王都へと帰還した。



 何とかクエストをこなした俺達は、王都へと帰還しギルドに報告に向かった。

 道中、露店の食べ物を食べたいと駄々をこねるゼノを押さえつけていたため物凄い労働力を要求されたが。

 しかしそれ以外は特に何事も無く、俺たちはギルド本局に着いた。


 中に入ると、そこには先に王都へと帰還していた者たちが待機していた。

 全員の無事を目視で確認したシェイズは、代表として口を開く。


「皆、ご苦労だった。想定外の事態はあったが、俺たちはこうして無事に帰還することができた。特にリュード、ミラン、ロイド、レナ。お前たちの活躍にも目を見張るものがあった。個々の能力値が高いだけでなく、それぞれ力を把握し、しっかりと連携が取れている。このクエストを成功させたことで、Sランク冒険者とSランクパーティーへの道が近づいたことは確実だろう」


 シェイズはリュードたちに称賛と激励の言葉を送った。

 そして彼は次いで俺とゼノを見る。


「そして、今回最大の功労者はここにいるスパーダと……ゼノだ。彼らがいなければ、俺たちの何人かは、確実に死んでいた……いや、下手をすれば全員死んでいたかもしれない」

「い、いや別にそんな……」

「ふふん! もっと称えるがよい!」


 俺とゼノは互いに正反対の反応を見せる。

 それを見たロイドたちは、まるで信じられないものを見るような視線を向ける。


「スパーダ、お前……」

「本当に……あの化け物共を倒したの……?」


 ロイド、ミランが口を揃えて言った。

 

「……あぁ。俺が、全部倒した」

「し、信じられない……です」


 レナの言葉に思わず同調しそうになるが、それを堪え改めて向き直る。

 

 そうだ……ロイドたちにも迷惑を掛けた。

 

 その思いが俺に謝罪を強要する。

 抵抗することは無く、意志に身を任せ、頭を下げようとする。


「おい」

「……え」


 その時だった。

 俺の謝罪は、リュードに肩を掴まれたことによって未遂に終わった。


「もういいつってんだろ。おい、クエストの報告が終わったらすぐにここを発つぞ。いいだろシェイズさんよ」

「あぁ、クエスト報告終了の段階で俺たちの関係は解消される。その後は好きにしてもらって構わない」

「え!? いいの、リュード?」

「あ? 何がだよ?」

「何がって……」


 言いながら、ミランは俺の方に視線を送る。

 彼女の言いたいことは分かる。

 俺に何も聞かなくていいのかと、俺に何も言わなくてもいいのかと――――そう言いたいのだろう。

 恐らく、ロイドとレナも同じ気持ちだ。


「……いいんだよ。もう、全部済んだ。俺たちが欲しかったのは今回のクエストをクリアしたっていう実績だろ」


 しかし、リュードはそう言ってミランを宥める。


「……分かったわ」


 リュードの言葉を、ミランは受け入れた。

 まるで、彼のしをらしい反応にそれ以上の追及は野暮であろうと理解したかのように。


 後味の悪い別れではあるが、仕方のないことだ。

 リュードと和解できただけでもマシだったろう。


◇ 


 クエスト成功の報告を済ませると、宣言通りリュードたちはギルド本局を後にした。


「さぁてと! メシじゃメシ!! 行くぞスパーダ!!」


 ゼノは早く食事を摂りたいようだ。

 実体化したことで自分で飯を食べれるということが堪らなく嬉しいのだろう。

 しかしそこに、何故かギルド局員が俺たちの前に現れた。


 報告も終わり、これ以上要件は無いはずだが一体どうしたのだろう。


「すみません。【竜牙の息吹】の皆さま。お疲れの所申し訳ありませんが、査問会への招集が掛かっています」

「招集……? どういうことですか?」

「今回のことで、ギルド上層部が話を聞きたいそうです」

「上層部?」

「恐らく今回の一件で話を聞きたいのだろう」


 俺の隣に立つシェイズがそう補足する。


「ま、待てよ。報告って今したばっかだろ? なんでもう上層部が知ってんだよ?」


 報告をしたのはつい十分ほど前だ。

 上層部が知るにしてはあまりにも情報の行きが早すぎる。

 疑問に思った俺はシェイズに聞くが、彼はその問いに答えなかった。


「リ、リンゼ。こういうことはよくあるのか?」


 Sランククエストともなればこういったことも日常茶飯事なのかもしれない。

 俺は答えてくれそうなリンゼに聞く。


「いや、いつもはこんなんじゃないよ。どうしたんだろう?」


 しかしリンゼも初めてのことらしく、首を傾げていた。


 参ったな……今日は色々な意味で疲れたし、面倒くさいな。


 今の俺は倦怠感が凄まじかった。

 できることならば行きたくない。


「すみません。それって別日にしてくれませんか? 今日はちょっと……」


 申し訳なさそうに局員に言うが、


「残念ながら、それは無理です」


 そう断言されてしまう。


「そ、それはまた……どうして?」


 局員は一呼吸置くと、再度口を開いた。


「それは、あなた方を招集したのが【慟哭の宴】だからです」

「……はぁっ!?」

「えぇ!?」


 ギルド内での最高執行機関であるその名に、俺とリンゼは驚愕した。

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◇◇◇


小話:

王都のギルド本局は十二階建てです。

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