表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/170

第二話 これからどうしよう

本日二話目です!

「あぁーーーー……」


 突然のクビ宣告の後、暫くして俺もギルド局を後にし、広場の噴水で肩を落としていた。


「どうすりゃいいんだよこれから……」


 俺は真剣に頭を抱えた。


『どうするもこうするもない! 早く次のぱーてぃーとやらを見つければ良かろう!』


 ゼノはさも当然のように言う。

 コイツの声は鈴を鳴らすような可愛らしい少女の声なのだが、言う事が毎回傲慢で自分本位で自分勝手なのが玉にきずだ。


「あのなぁ……俺達の食費を稼ぐには、最低でもBランク以上のパーティーに入らないと無理なんだよ!」


 冒険者個人、そしてその冒険者で構成されるパーティーにはランクがある。

 下からE、D、C、B、A……そして最高ランクがSだ。


 パーティーは誰でも作る事が可能。

 そして作った本人の冒険者ランクがパーティーランクとして反映される。

 つまりAランク冒険者がパーティーを作ればそのパーティーはAランクという訳だ。

 次にパーティーへの加入条件。

 このランクだから入れる入れない、というような制度は存在しない。


 ただ、実際にはそれは建前だ。


 例えばCランクの冒険者がAランクのパーティーに入れるかと言えばそれはほぼ不可能だろう。

 理由は明快……Aランクパーティー側が拒否するからだ。

 Aランクのパーティーに集まるような冒険者は基本的に猛者ばかり、そこにCランク程度の冒険者が入れるはずがない。

 足手まといになるだけだ。


 そのためパーティー側も事前に〇ランク以上というように募集を掛ける場合が多い。

 よって実際パーティーに入るとなると、それはほぼ自分の身の丈にあった所に入る事になる。

 冒険者の個人ランクとは、それを見つけるための指針としても役立っているのだ。

 Cランク冒険者ならばCランクパーティーに、Aランク冒険者ならばAランクパーティーに。

 まぁランクが違っても、入るのはせいぜい一つ上か下のパーティーだ。


 ……と、まぁこのようにしてパーティーは形成されていく。


『ぱーてぃーのらんくとはそんなに大事なのか?』

 

 きょとんといた声音でゼノは言う。


「当たり前だろ。個人ランク、パーティーランクが高ければ高い程色々な特権が与えられるし、難易度……要は報酬の高いクエストも受けられる。おまけにギルドからの待遇も良くなる……ってこの話前もしたぞ」


 クエストには難易度というものがあり、これもまたランクで示されている。

 AランクのクエストはAランク以上の冒険者である者か、もしくはAランク以上のパーティーしか受けられない――――と言った風にだ。


『おぉ! いいことづくめじゃのう!』


 まるで初めて聞いたような口ぶりで言うゼノだが、基本コイツは人の話を聞いてもすぐに忘れるため怒っても仕方が無いことは理解していた。


「で、俺達の莫大な食費を稼ぐにはBランク以上のクエストを受けないといけないわけ」


 俺が一週間で食費に掛ける金額は大体三十万ネイス。

 それだけあれば一般人は二か月は多少贅沢してもおつりがくる生活が出来る……それが俺の場合は一週間の、しかも食費だけでほとんどが消し飛ぶのだ。


 馬鹿みたいに思われるかもしれないが一回の食事で二十人前ほど食べるためこれは仕方の無い事である。

 モンスターを倒して食べるのも食事を我慢するのにもワケあって限界があるため、どうしてもこれだけ金が掛かってしまう。


 話を戻そう。


 Bランクのクエストで手に入る額は大体二十万ネイス、二回成功させれば一週間分の食費を賄える計算だ。

 だが採集や散策が主のCランク以下のクエストだと、高くても報酬は十万ネイス程度。

 しかもそれは極まれであり、大体は五万ネイスもいかない。

 これでは到底一週間分の食費を賄う事が出来ないのである。


 契約制度と言ってクエストの報酬金ではなく、固定給として一か月分の金をもらうという制度もあるにはある。

 だがこれは報酬金が少なかったり、それだけでは生計を立てられないような冒険者……つまりDランク以下の冒険者が取る処置だ。

 当然、これでは俺の食費は賄えない。


 という訳で、俺はある程度高い報酬金をもらえるBランク以上のクエストをこなすしか選択肢がないのだ。


『なら「Bらんくくえすと」とやらを受ければ良いではないか』

「だから無理なんだよ!! CランクやDランクならまだしも、魔力の無い俺がBランク相当のクエストをソロでなんて!! お前も分かるだろ!?」


 俺たちには秘密がある。

 バカみたいにメシを食うのも、魔力が無いのもそのためだ。

 互いにそれを理解しているはずなのだが、どうもゼノにはその認識が甘い。


『じゃあどうするのじゃ! このままでは儂もお前も死ぬぞ!! ていうかBランクって何じゃ!! 雑魚かお前は!!』

「うるさいよ!! 俺だって好きでBランクやってんじゃねぇ!!」

『ともかく事は急を要する!! 早く名案を出せい!!』

「分かってるよ!! だからこうして必死に考えてんだろうが!!」


 俺はゼノと言い合いを続ける。

 すると、


「おいおい……見ろよアイツ。誰と喋ってんだ……?」

「関わんない方がいいぜ。アイツここらじゃ有名な変人だ。何でも剣と話してるんだと」

「うわぁ……かなりヤバい奴だな……」


 周囲からそんな声が次々と俺の耳に入る。

 俺は度々ゼノと言い合いになり、衆目を気にする事無くこういった状況を引き起こす時がある。

 最早慣れたものだ。


『というか名案も何も、お前の話を聞く限り新しいぱーてぃーに入るしかないではないか! 早く見つけるのだスパーダ!!』


 急かすゼノ。

 彼女の言う通り、ソロでのクエストが無理な以上、俺たちがしなければならないのは一刻も早く新しいBランクパーティーを見つける事だ。

 だが、事はそう容易ではない。


「【無能】とかいう名前で俺の噂はそこら中で広まってるからな……。入れてくれるBランク以上のパーティーなんて多分……」


 言いながら絶望した。


 魔法が使えなくなり、早二年。

 魔法が使えない俺の悪名や噂はそこら中に轟いている。

 パーティーを見つけるのは相当厳しいだろう。


 あぁ……終わった……こうなりゃもう盗賊にジョブチェンジでもするか……。


 投げやり気味にそう思った時、


「ス、スーちゃん……?」

「……え?」


 彼女は現れた。

ここまで読んでくださってありがとうございます!

よろしければブックマークや感想、広告の下にある【☆☆☆☆☆】から評価していただけると大変作者の励みになるのでぜひお願いします!!

お気に入りユーザ登録をしていただけると更に舞い上がります!


小話:

EからSまである冒険者ランクですが、金銭面で比較するとこんな感じです。


E、D:ギルドと固定給契約、もしくは副業しないと生活できない。

C:冒険者の仕事だけで最低限度の生活はできる。

B:普通に生活できる。

A:金に困らない程度には稼げる。

S:下級貴族と同程度には稼げる。


スパーダは本来ならば普通に生活できる程度には稼いでいるはずなのですが、そのほとんどが食費に消えてしまいます。

その理由や、彼が会話するゼノは何者なのかはその内分かりますのでお待ちください……!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して

いただけると作者への応援となります!


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ