プロローグ ランディア大陸
新作となります。
よろしくお願いいたします。
地平線から日が昇り、広大な草原に暖かな光が広がっていく。
その広大な草原からすればちっぽけな人々の集まり。
小型の集落にも等しく太陽の恵みは降り注ぐ。
人々は太陽の恵みと共に目覚め、自らの生きる糧を得るために動き始める。
悠久の時の中、人々はこの大地で生まれ、育み、死んでいった。
始めは少なかった人々は、生き残るために知恵を絞り、長き時間をかけて少しづつ発展していく。
野に咲く木の実やきのこなどを拾い食し、動物を狩りその血肉を得ていた時代から、自ら食料を育てて増やすことを知る。
石を使い木を折って使用していた時代から、鉄を作り石を切り革を使い、より強き存在に挑む。
強き生物から強き素材を得て、さらに強きモノを狩る。
人類は今の所、この世界において最も勢いのある種族と言えた。
この大地の名はランディア。
どこまでも続く広大な土地、様々な地形を有して、その端を認めたものはいない。
人類はその人口の増加とともに生存圏を広げていく。
新たな生物と出会い、時には狩るものから狩られるものへと変えられる屈辱を乗り越え、さらに生活エリアを広げていく。
そして、人類はついに出会うことに成る。
この大地の中心に存在する超巨大な塔。
この世界が生まれいでた時からその場所に佇む、この世界の空を支えているかのように、その頂上は天空の遥か高き先。どこまで続くのか、誰も知ることはなかった……
塔の存在を知った人類は、次に塔へと挑み始める。
何者かが作ったのかは不明だが、当時の人類がとても作り出せないような美しい装飾が施された塔の外壁や、その入り口、そして塔の内部には見たこともない生態系によって支配されていた。
巨大な塔の内部には、別の世界が広がって居た。
多くの犠牲を積み上げながら、その塔の謎を人類は解きほぐしていく。
しばらくの歴史、塔へと挑む存在は人族によって独占されていたが、とうとう人族以外の存在が、塔へと辿り着く。
まずは、獣人と呼ばれる人々。
獣のような強靭な肉体を持つ人型の生物だ。
突然現れた未知の存在に人族は恐怖したが、いくつかの小競り合いはあったものの共通の言語を用いるそれらの存在と段々と融和していった。
人族は強靭な肉体を持つ獣人に敬意を払い。
その器用な手先で様々な武具や道具を操る人族に対し、獣人も敬意を払った。
次に現れたのは耳長族、のちにエルフと呼ばれる種族。
精霊を愛する森の民、強力な魔力を持ち、人類に魔法をもたらした。
白き肌を持ち、光の魔法を得意とするエルフ。
黒き肌を持ち、闇の魔法を得意とするダークエルフ。
その美しい姿は他の種族を魅了した。
そして、深い薬草の知識や魔法の知識は、皆に多くの叡智を与え敬意を受けた。
最後は土混じり族、のちにドワーフと呼ばれる種族。
様々な石の扱いに長けており、人類が作った武具がまるで児戯に見えるほどの素晴らしいものを作り上げた。
エルフとは犬猿の仲であったが、お互いの能力は認め合い、お互いが競い合うように技術を練り上げ、ついには魔道具、魔装具という画期的なものを作り上げた。
人族、獣人族、エルフ、ドワーフ、4つの種族は手を取り合い、塔へと挑み続けた。
長き時の流れの中、塔からもたらされる多くの恵みを昇華させ、人々はさらなる高みを目指していく。
塔への挑戦者たちは、いつの日か、望みを見る者たち、望見者と呼ばれるようになった。
また、この大地の謎を解き明かそうと、塔を中心に4つの種族が生まれた原初の地の調査に現れるものも現れた。彼らは冒険者と呼ばれる。
冒険者たちの努力によって、この大地の果てが示されることになる。
世界の果ては、虚無と言われる空間に囲われし断崖。
巨大な海も湖も、虚無に向けて滝を作り、その果ては見えなかった。
その大地の果てには、中央の塔よりは小型、しかし、それでも巨大な塔が存在した。
人類の原初、日のいづる地に立つ塔。
獣人の原初、火沈む地に立つ塔。
エルフの原初、極寒の地に立つ塔。
ドワーフの原初、灼熱の火山に立つ塔。
中央の塔を大柱、その四本の塔は4柱と呼ばれるようになる。
人によって確かめられた4柱と大柱は転移装置によって移動が可能になった。
4柱は100階層によって成り、制覇したものに強大な力を与える。
1柱を納めたものがアイアン。
2柱を納めたものがシルバー。
3柱を納めたものがゴールド。
4柱を納めたものがダイアモンド。
そして、それら全てを制覇し、大柱100階層に到達した者は人類最高の称号、プラチナと呼ばれた。
大柱は100階層を超えた階層、超階層を有し、その場には選ばれし超越者しか足を踏み入れることを許さなかった……
4柱を一本でも制覇すると、存在進化が起こる。
各種族の上位種族へと至ることができる。
冒険者たちの業績は称賛され、尊敬された。
また、冒険者は各地に塔と良く似たダンジョンの存在も突き止めた。
各種ダンジョンの最深部から手に入る宝箱には、塔で手に入るものを凌駕する性能を誇るものも多く、大柱に挑むために4柱に挑むためにダンジョンに挑む者も増えていく。
全ての冒険者の挑戦をはね返し、いまだにその神秘性を失うことない塔を神格化し祈り始める者も現れたのは、自然な流れと言えるだろう。
そして、その祈りは神へと通じ、職業というギフトを人類は手に入れる。
しかし同時に人々に大いなる力を与える塔教会は大きな力を持つことになる。
少なくとも、この世界には塔を作った圧倒的な存在がおり、職業や各種スキルといった力を授ける存在はいる。
例え塔信者ではなくても、それを疑うものはいなかった。
いまだに謎の多い世界だがいくつかの原則的なルールが存在した。
1.塔とダンジョンはまるで生きているかのようだ。壁は壊せず天井も地面も破壊することは出来ない。
2.週に一度、太陽と月の日が変わる時、内部のボスが復活する。また宝箱が生み出される。
3.10階層ごとに強力なボスが存在しており、そのボスを打ち倒すことで入り口にある転移装置が作動することがあり、一度起動した転移装置は恒久的に利用できる。塔にはほぼ必ず存在するが、ダンジョンは大型の場所にしか存在しない。
4.塔やダンジョンの内部では、成長すれども老いはしない。
5.塔やダンジョンの内部の魔物は塔より生み出され、尽きることはない。
6.職業は神殿によって授けられ、条件を満たすことによってより上位な職業へと至ることができる。
存在進化により長寿化する。進化時に15歳の身体に戻ることも出来るが、その場合一から鍛え直しとなる。
7.4柱はいずれかに挑戦している間は、他の柱には挑めない。
8.ダンジョンや塔の一部の部屋、特にボスの部屋は入れる人数が制限されることがある。
最小単位が6人であるため、パーティは6人を基本として構成される。
9.塔からの脱出は、入口まで戻るか、10階層ごとにある転移装置を使うか、離脱の札を手に入れて使うしかない。離脱の札は、外に出るとその効果を失う。たまに宝箱から得られたり、ボスが落とす。
10.塔の頂上に至った者は、神の元へと至ることができる。
人類は、長き長き時を、塔への攻略に当てた。
圧倒的な敵としての塔という存在は、人類同士の争いを抑制し、人類の未踏の夢として君臨し続けた。
各人種は混ざり合い、様々な新しい種族を生み出し、その数を増やし、大地に多くの都市を形成し、人類史は受け継がれていく。
このランディアの大地に生まれた1人の男。
ピュアヒューマン、人族の男。
人類が初めて大柱の200階層を突破した日に生まれた彼の冒険は、後に人類史に刻まれるほどの大冒険となる。
この物語は、そんな男の大冒険を記すものである。
もしよろしければ、もっとこうした方がいいなどの助言を感想でいただけると今後の成長に活かしたく思っております。是非お気軽に叱咤激励をよろしくお願い致します。