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93話 自堕落教団は存在する!

アオ視点の話です。

 ギルドハウスを購入し数日後俺達『フォレスト』はある危機に陥っていた。

 このままではダメだ!

 皆、だらけきっている!

 いつも何だかんだこういう時皆の気を引き締めてくれる師匠は今回きーこちゃんを娘のように可愛がって他の事が一切手につかない様子だ。

 先生とべリアちゃんは庭にある薔薇園の真ん中の白いテーブルでチェイスさんが淹れた紅茶をずっと飲んでいる。

 べリアちゃんはホットミルクだ。

 レイクは赤い大きなソファーで寝っ転がっていて、その寝っ転がっているレイクの上にあんことゆきが座っている。

 「しーあーわーせー。」

 あんことゆきが上に座っているのはどうなのかと思たっが本人が幸せだと言うのでこのままにしておこう。

 クロは二階のバルコニーで小さい姿のまま永遠と寝ている。

 このギルドハウスを買った日から誰かが街に行ったりレベル上げに行く姿を俺は一度も見ていない。

 俺はログインするとレベル上げに行くのだが、みんなはいつも俺より先にログインしていて俺がレベル上げから帰ってきてもみんなはギルドハウスの中にいる。

 このままでは『フォレスト』が自堕落集団になってしまう!

 俺が何とかしなくては!

 まずは……一人でいるクロに声をかけてみよう。

 「クロ、そろそろ狩りに行きたくならない?」

 「………………。」 

 「クロー?」

 「………………。」

 うん、返事がない。

 ただのしかばねのようだ。

 次に行こう。

 

 「師匠、そろそろレベル上げをしに行きませんか?」

 「レベル上げ?ダメダメ、僕は今からきーこと庭で遊ばないといけないから。」

 「キュー!」

 ダメか……。

 それなら奥の手だ!

 「師匠、そろそろきーこちゃんをモンスターと戦わせてみてはどうですか?」

 「何言ってるのアオ!君は鬼か!きーこを危ない目に合わせようとするなんて見損なったよ!」

 怒られてしまった……。

 師匠もきーこになる前のきーこをかなり危ない目というか二回ほど見殺しにしているけどそこは突っ込まないでおこう。

 「分かりました。でもレベル上げに行く気になったら教えてくださいね。」

 俺はそう言い残すと師匠の元を後にする。

 次に行こう。

 

 「レイク、レベル上げに行かないか?」

 「無理ー。ここから動けなーい。」

 声が完全にだらけている。

 「あんことゆきは?」

 「行きたいですけどフータ様があの状態なので……。」

 「あくまでも私たちはフータの使い魔だからね。基本的にはフータの傍にいないといけないのよ。『宝探しゲーム』は例外だけど。」

 「アオもだらければいいのに。このソファーとかふかふかで気持ちいよー。君もこの自堕落教団に入ろうよー。」 

 自堕落教団ってなんだ!?

 「勝手にそんなものを作るな!」

 取り合えずレイクの頭にチョップをしておく。

 「いてっ!自堕落教団はあるよー。みんな入団してるんだからー。」 

 これ以上は話にならないので次に行こう。

 「本当にあるからねー。」

 まだ何か言っているが無視である。


 最後は先生たちの所だ。

 正直俺では先生を説得するのは無理な気がする。

 「先生……。」

 「無理です。」

 まだ何も言っていないのにいい笑顔で断られてしまった。

 「まだ何も……。」

 「私はここから一歩も動くつもりはありませんよ。」

 「じゃあ……。」

 「チェイス君はダメですよ。べリアちゃんならいいですが。」

 「なんであたいならいいんだよ!」

 じゃあチェイスさんとべりあさんは?と聞こうとしたところ聞く前に答えられてしまった。

 「言っておくがあたいもダメだぞ。この後クッキーを焼いてもろう予定だからな。」

 「そうですか……。」

 

 仕方ない、今日も一人でレベル上げに行こう。

 

 いつか皆が元に戻ることを祈って俺は一人レベル上げに行くのだった。

 

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