91話 この子は恐ろしい子かもしれない!
驚かれると思ったけどまさかここまで驚かれるとは……。
特にリアクションが一番大きい。
「どどどどどどどどどうしたのーーーーーー!いいいいいいいつの間に子供が!誰との子供なの!?誰となのーーー!」
さっきからレイクに両肩を掴まれかなり激しく揺らされている。
「おおおおおお落ち着けレイク!めめめめめめめでたいことではないか!師匠、結婚式はいつですか?」
落ち着くのはお前だー!
レイクだけどと思ったらアオも大概だった。
結婚式って……相手もいないのにできるわけないでしょ……。
ここゲームの中だし……。
「結婚式……。」
レイクがふらふらと膝から崩れる。
心なしかレイクから色が抜けて白くなっているように見える。
先生はニコニコは微笑んでこの状況を楽しんで見ている。
この状況を抜け出すために先生からの助け舟は出なさそうだ。
べリアちゃんとチェイスさんは呆れた顔をしている。
「二人とも落ち着いて。きーこは僕の使い魔だよ。」
「キュー!」
きーこが手をあげて挨拶をする。
ちゃんと挨拶ができるなんて……お父さん嬉しいよ……。
「使い魔……?」
「使い魔ですか?」
「そう、使い魔。《樹木兵》っていうスキルを使って出てきたモンスターに名前を付けたら今のきーこになったんだ。始めの姿のきーこも可愛かったけど今のきーこの方が100倍は可愛いぞー。」
僕はそう言ってきーこの頭をぐしゃぐしゃ撫でると、きーこは嬉しそうに笑った。
「か、可愛い!もう、使い魔なら早く言ってよー。変な勘違いしちゃったよ。でもよく考えたらここゲームだもんね。はぁー、よかったー。」
「ん?よかったって何が?」
「べ、別に何でもないよ!」
「キュー!」
きーこがいきなりレイクに抱き着いた。
「わ、わわわわわわわわ!」
「キュー!」
きーこに抱き着かれたレイクは物凄く慌てている。
レイクからあんこやゆき、べリアちゃんに抱き着いている姿はよく見るけど、誰かから抱き着かれることは慣れていないようだ。
「きーこ、そろそろレイクを離してあげて。目がやばいことになってる……。」
「キュー?」
きーこがどこか別の世界に行っているレイクから離れるとようやくレイクが正気に戻る。
「あれ?ここは……。さっきまで可愛いものに囲まれた幸せ空間にいたはずなのに……。」
戻ってきてくれてよかった……。
本当に!
「ほら、きーこ先生達にも挨拶しようね。」
「キュー!」
きーこが先生たちに手をあげて挨拶をする。
「きーこちゃんよろしくお願いします。仲良くしてくれると嬉しいです。」
「キュー!」
「雑用なら何なりとお申し付けくださいね。」
「キュー?」
「よ、よろしく……。」
べリアちゃんは何かが増しているのかプルプルしている。
「キュー!」
きーこがレイク同様、べリアちゃんに抱き着く。
「わ、わわわわわわわわわわ!」
べリアちゃんも抱き着かれて物凄く慌てている。
そしてレイクのように段々目がやばくなり始めている。
「きーこ、そろそろ離してあげて。べリアちゃんも違う世界に行っちゃいそうだから。」
「キュー?」
きーこから解放されたことによってべリアちゃんもこっちの世界に戻ってこれたようだ。
「あれ?ここは……。さっきまで可愛いものに囲まれた幸せ空間にいたはずなのに……。」
レイクと全く同じことを言っている……。
もしかするとこの子は恐ろしい子なのかもしれない……。
べリアちゃんも戻ってきてくれてよかったよ。
「師匠、そろそろ行きましょうか。」
「そうだね。ただでさえ僕が遅刻して時間がないからね。」
僕たちは始めの物件を見るために歩き出す。
僕はきーこと手を繋いで歩こうと思たがきーこの姿がない。
きーこはレイクとべリアちゃんの後ろに行き、後ろからレイクとべリアちゃんと手を繋ぎニコッと笑う。
「「わ、わわわわわわわわわ!」」
二人はきーこの可愛さで歩けなくなりその場で崩れる。
「キュー!」
きーこはそんな二人の姿を見て楽しそうに笑う。
やっぱりこの子は恐ろしい子かもしれない……。
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