84話 偉い人の話は総じて長い!
店内に入るとNPCの店員さんに案内されて個室に通された。
部屋の真ん中には大きな丸テーブルがありテーブルを囲むように椅子が12個用意されていた。
それぞれが席に着き好きなものを好きなだけ注文していく。
「我は肉!肉が食いたいッス!」
「私は生野菜よ!」
店員さんに注文を伝えると部屋から出ていきすぐに大量の料理を持って戻ってきた。
ちなみにゲームの中なのでいくら食べてもお腹は膨れない。
味を感じることはできるのでおいしいものがいくらでも食べる事が出来るのだ。
なんて最高な環境なんだ!
まあ、人によってはいくら食べてもお腹が膨れないことで虚しくなる人もいるみたいだけど。
ビールやワインなんてものもあるけど酔う事が出来ないらしい。
味はおいしいみたい。
聞いた話だけどね。
料理がテーブルの上に並び全員が飲み物を手に持つ。
「乾杯は誰が言うんだ?」
「もちろん兄貴ッス!」
「師匠しかいないですね!」
「フータがいいと思う!」
「『宝探しゲーム』1位ですしね。」
なんとなくやらされる気がしたから黙って気配を消していたのに……。
「僕がやらないとダメですか?」
「俺が変わってやってもいいぞ!」
「あんたは黙ってなさい。」
「はい……。」
ユウもっと頑張ってよ!
あんこ助けて。
無言で首を振られた!
やるしかないのか……。
「えー、皆さん『宝探しゲーム』お疲れさまでした。ということでカンパーイ!」
「短かっ!ダメダメ!もっと何かあるだろう。」
「じゃあファイヤさんがやってくださいよ。」
「俺かー?いいけどよー、えー、皆さん『宝探しゲーム』お疲れさまでした。俺がフータとアオに出会ったのはそこにいるクロ、黒竜討伐のため人数を集めている時だった。一人でクロに挑んだときは手も足で無くて人を集めていたんだがフータとアオが来たときは救世主が来たかと思ったぜ。フータとアオは『タッグマッチトーナメント』の時からギルドに誘おうと思って目をつけてたんだけどよ、もうギルドを作っているとは思わなかったぜ。まあ、誘えなかったのは残念だけどこれからは打倒『フォレスト』を目指して『炎の王国』も頑張るぜ。クロを討伐するときはクロのブレス攻撃で多数が倒される中生き残ったのは俺とフータとアオだけだった。俺の攻撃は効かないしどうしようもかったけどフータの《森の目覚め・吸》という超強力なスキルでクロを拘束した。それで死になくないクロはフータの仲間になったってわけだ。」
長い……。
長いよファイヤさん。
クロの顔を見た方がいいよ!
凄い剣幕で睨んでるから!
気づいてファイヤさん!
「俺はフータとアオと別れてからはメンバーを集め始めた。なぜかと言うとPを多く持っているプレイヤーを倒すためだ。フータレベルになると一人で行っても返り討ちに会うだけだからな。取り合えず手あたり次第プレイヤーを倒して回ったけどPを大量に持っているプレイヤーはいなかったな。そんな時に放送があったってわけだ。放送を聞いてフータが1位になってるのを見て困っているだろうと思って助けに向かったわけだ。でも、どの赤点か分からなかったから一番近くの赤点に向かったんだけどそこにフータ達がいたのはラッキーだったな。」
そろそろクロが本格的にやばい!
口を開いてどす黒い光を集め始めている。
このままだとファイヤさんが消し炭になっちゃう!
「ファイヤさんストップ!アオ、クロを止めて!」
「分かりました!」
「皆さんお疲れ様!カンパーイ!」
「おいおい、話はまだ……。」
「「「「「「カンパーイ!」」」」」」
アオのおかげでファイヤさんが消し炭になることもなく平和?に打ち上げが始まった。
皆も安堵の表情を浮かべているので本当にクロがブレスを発射するのを止められてよかった。
打ち上げではみんながどんな3日間を過ごしたのかを聞いた。
やっぱり一番衝撃的だったのはレイク達だな。
いきなり洞窟の中に転送されて謎の遺跡の中で化け物に追い回されるなんて、僕だったら耐えられない……。
クロの方で良かった。
ユウは海底の遺跡で巨大なたこといかと戦ったみたいだ。
ネロは島中を徘徊する狂暴なサルを後ろから刺してP手に入れたらしい。
何だかみんな凄い体験をしてるなー。
「思い出話も終わったところで約束を果たしてもらうぞフータ。」
「分かってますよ。」
僕は王の称号とあんこやゆきについて話した。
《森の目覚め》や《植物操作》については隠させてもらった。
王の称号を貰った時にスキルも貰ったとは話したけど、これから戦うこともあるだろうしその時に不利になりたくないからだ。
その辺はファイヤさん達も分かっているようで追及はしなかった。
まあ、使いまくってるから聞くまでもないってことかもしれないけどね。
「じゃあ、そっちの先生も王の称号を持ってるのか?」
「はい。私は《常夜の王》というのを持っています。フータ君同様スキルも貰いましたがギルドメンバーで無い人にどのようなスキルを貰ったのか明かすわけにはいきません。」
「なるほどな。スキルについては深くは聞かねえよ。俺も自分の持ってるスキル明かすの嫌だしな。」
「死神のお兄さんが強いのも納得いったよ。」
「先生の場合は元から強いような気がするのですが……。」
「私もフータ君も手に入れたのは選ばれたとかではなくたまたまなので皆さんにもチャンスはありますよ。」
先生の言葉に皆が喉を鳴らす。
「よし!解散にしよう!こんなところでのんびりしてる場合じゃねえ!」
「そうだね!僕も探しに行かないと!」
「俺は興味ねえなー。」
「それじゃあ、俺達行くから。またな!」
サブマスターがそう言うと『フォレスト』以外の人が走って出ていく。
そういえばまだサブマスターの名前知らないな。
今度会ったら聞かないと。
「僕達も行きますか?」
「そうですね。」
「これから狩に行きますか?」
「うーん。疲れてるしこのまま解散にしようか。」
「分かりました!」
「クロ、ゆき、もう行くよ!」
今だがっついてるクロとゆきに店を出ることを伝える。
「「もう少しだけ」」
口をパンパンに膨らませて二人して同じことを言った。
もうしばらくかかりそうだ。
「ごめん。もうしばらくかかりそうだから皆先に行ってて。」
「分かった!じゃあねフータ。」
「お先に失礼します。」
「しっかり休んでくださいねフータ君。」
『フォレスト』のメンバーも出ていき僕とあんことゆきとクロが残った。
僕はしばらく自分の可愛い使い魔たちとゆったりとした時を過ごすのだった。
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