79話 始まりの時を待つ!
「兄貴もうじき着くッス!」
『宝探しゲーム』残り30分。
何とか間に合ったようだ。
僕たちのいる場所からユウ達がいるのが見える。
ユウは腕を組んでうろうろしている。
僕達が間に合わないかもしれないと思って焦ってるんだろうなー。
お、クロに気づいたみたいだ。
さっきまで眉間にしわがよっていて眉毛がくっつきそうだったけど今は満面の笑みで背景にお花畑が見えそうだ。
おまけに大きく手を振り始めている。
こっちも手を振り返すとハッとした表情になり手を振るのをやめてしまった。
クロが着陸するとまずファイヤさんが迎えてくれた。
「おう!ギリギリセーフでよかったな!ユウのやろうなんてずっとソワソワしてたぜ。まだかまだか、まだ来ないのかって、ずっと言ってたぜ。」
「余計なことは言わなくていい!それよりもずいぶん遅かったなフータ!待ちくたびれたぞ!待ちすぎて寝るかと思ったけどな!」
「今ファイヤさんがそわそわしてたって……。それに空からうろうろしてるのも見えたし……。」
「寝るかと思ったけどな!」
圧が凄いんだけど!
これはそういうことにしておいた方がいいのか?
「そ、そうなんだ……。せっかくゆっくり睡眠がとれるところだったのに邪魔してごめんね。」
「許してやろう。俺は心が広いからな!早速始めるぞ、時間がないんだ!」
「うん。いいよ。」
「ちょっと待ったー!」
僕とユウが始めようとしていた時にファイヤさんが待ったをかけた。
「マップを開いてみたらここに赤点が5つ集まってるんだがどういうことだ?」
「あ、紹介しますね。こちら5位で『フォレスト』のメンバーの先生です。こちらが4位で『フォレスト』のメンバーのレイクです。メイド服の悪魔がべリアちゃんで執事服の吸血鬼がチェイスさんで、こちらは先生の使い魔です。黒いウサギがあんこで白いウサギがゆきで僕の使い魔です。最後にこの少年が3位のネロです。ネロだけは『フォレスト』のメンバーではないですね。」
「フータのギルドって化け物揃いなのか……。それに使い魔ってそんなものがいるのか?」
「使い魔っていうのはですね、王のしょ……」
「ちょっと待ったー!」
今度はユウが待ったをかけた。
「その話長いだろ!後にしろよ!今はこっちが大事!」
「で、でもよー、このゲームに関する重要なことが聞けそうじゃねえか。聞かなかったら損だぜ?」
「あとだ後!そんなもんはこのイベントが終わってからにしろ!終わってから飯でもなんでも食いながら聞けばいいだろ!」
「それもそうか。フータ約束だぞ?この『宝探しゲーム』が終わったらグラーシの街のレストランでその話聞かせてもらうからな!」
「分かりました。終わってから伺いますね。」
「よし!早く始めるぞ!残り25分しかねえ!」
「始めよう。始めの合図をファイヤさんに頼んでもいいですか?」
「おう!任せとけ!」
僕とユウは距離を取る。
互いに向き合いファイヤさんの始まりの合図を待つ。
緊張してきた。
ゴクリとのどを鳴らす音がドクンと心臓の音が聞こえてくる。
剣を抜きその時を待つ。
「始め!」
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