76話 少女マンガじゃあるまいし……ねぇ……。
私はおかしくなってしまったかもしれない。
もう一度言う。私はおかしくなってしまったかもしれない!
フータに助けられ色々あって仲間になったらしいクロという名前の竜の背中に乗って落ち着いてから私に異変が起こり始めた。
竜の背中に乗って落ち着くというのもおかしな話だが今はそんなものどうでもいい。
さっきからフータのことばかり考えてしまっている。
それにフータの顔をまともに見れなくなっている。
どうしてしまったんだ私!
これでは漫画に出てくる恋する乙女みたいではないか!
「おい!聞いてるのか!レイク!」
「は、はい!聞いてます!」
そうだった、今はべリアちゃんに説教されてるところだった。
これは本格的にやばい。
べリアちゃんの説教が一文字も頭に入ってこないほどフータのことを考えてしまう。
でも確かにあの時のフータはかっこよかったよね……。
物語が白馬に乗った王子様ならフータは黒竜に乗った王子様っていうことになるのかな……。
って、ちがーう!
何を考えてるんだ私!
べ、べ、べ別にフータに一目惚れしたなんてそんなことある訳……。
た、たしかにあの時ピンチの時に駆けつけてくれたフータはかっこよかったよ。
それは認める。
認めますとも。
でもだよ!
でも、そんなピンチを助けられて恋に落ちちゃうなんてそんな簡単な女ではないですよ私は。
しかもこれはゲームの世界。
現実ではどんな人なのかも分からないのに……。
でも、とてつもなくいい人の可能性もなくはないよね。
ほら、ゲーム世界でも現実世界でも性格は変わらないわけだし。
だったら大丈夫なんじゃ……。
って、私は待たないを考えているんだー!
「まあまあ、べリアちゃん。レイクも頑張ったんだしその辺にしてあげたら?」
「で、でも……。」
「それにどこか上の空って感じだしね。」
「それもそうだな。」
「ほら、やっぱりこの会話も聞こえてないみたいだ。おーいレイクー。聞こえてるー。」
誰かが私の体を揺さぶっている。
誰だこんな大事な時に!
「フフフフフフフフフータ!どどどどどどどどどうしたの?」
目の前には私の顔を覗いているフータがいた。
近い近い近い近い近い近い近い近い近い!
とにかく今は離れなくては!
私の心臓が破裂してしまう!
「そ、そんなに距離を取られると流石に傷つくんだけど……。」
「ご、ごめん!でも今はこの距離がないとフータとはまともに話せないから!」
今フータは黒竜の頭の方にいて私は尻尾の方にいる。
つまり現時点でとれる最大の距離をとっている。
なにやらフータはこの一瞬で随分と落ち込んだ顔をしているけど、どうしたんだろう?
とにかく今は落ち着け私!
ずっとドキドキしてるし顔も不自然に熱い。
「レイク大丈夫?」
「なななな何が?」
「さっきから様子がおかしいし顔もだいぶ赤いよ?」
「ななななに言ってるの?どどどどこもおかしなとこなんてないよ。」
「そう?ならあんまり避けないでほしいんだけど……。」
「それは無理!」
「そうですか……。」
さらにフータが落ち込んだように見えたが私に今フータを気にかけている余裕なんてない!
どどどうしよう!私はフータに恋をしてしまったかもしれない!
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