64話 遺跡から脱出!
レイク視点です
私たちはすぐに警戒する。
周りを見渡すとさっきの部屋とは違い目の前の扉以外逃げられる場所がないことが分かる。
化け物だった場合はここで戦うしかないのだと私とべリアは覚悟決める。
拳を強く握り扉が開かれるのを待つ。
完全に扉が開かれる。
「あれ?レイクさんとべリアさんこんなところで何やってるんですか?」
「あなた達こんなところにいたのね。」
扉の先にいたのはあんことゆきだった。
「あんこちゃんとゆきちゃんかー。よかったー。」
安心すると緊張がとけ膝から崩れてしまった。
「ちょ、ちょっと大丈夫なの?」
「う、うん。安心しただけだから。」
これでようやく一息つくことができた。
「本当に大丈夫なの?変な笑い声が聞こえてここまで来たけど何があったのか聞いてもいい?」
「うん。実はね……。」
私はあんことゆきに今起きた出来事をすべて話した。
「ということはまだ近くにいるかもしれないってことですか?」
「笑い声が聞こえないからどうか分からないけど、時間が経ってないからまだ近くにいるかも。」
「そうですか……。」
「ところであんこちゃんとゆきちゃんはいつから二人でいるの?」
「結構初めからですね。ゆきが……。」
「待ってお姉ちゃん!私から話すわ。地下って薄暗くて何か出てきそうな雰囲気があったでしょ。だからお姉ちゃんが怖いかなと思って私が付いて行ってあげてたってわけよ!」
「なるほど。ゆきちゃんが怖がっていたからあんこちゃんが付いて行ってあげてたってことだね!」
「その通りです……。」
「違うわよ!」
「まあ、どんな理由にしろここで四人が合流出来て良かった。あたいはこの遺跡から早く出た方がいいと思ってる。あの化け物がいるんじゃ宝探しどころじゃない。」
「倒すことはできないのですか?」
「分からない……。でもあの時あたいは全力で殴ったはずだ。それでもあの化け物は何事もなかったかのように起き上がった。どの程度HPがあってどの程度攻撃力があるのか分からないけどあいつとは戦うべきではないと思った。」
「べリアさんがそこまで言いますか……。分かりました!ではいち早く脱出しましょう!出口の位置は覚えているので皆さんついてきてください。」
よかった……。
あんこが出口の位置を覚えているらしい。
私たちはここまで無我夢中で逃げてきたので出口の位置を見失っていた。
「では行きましょう。」
扉を少し開け左右を見て化け物がいないことを確認する。
どちらにも化け物の姿はないので全員部屋から出る。
「こっちです。」
小声であんこが案内する。
ピチャッ。
「ひゃっ!」
天井から何かの液体が垂れて私の頬を伝う。
何だろう?
頬に伝う液体をぬぐってみると赤い血のような液体だった。
嫌な予感がする。
さっき左右は確認した。
左右に化け物がいないのもしっかり確認した。
ただ天井は確認しなかった。
だって天井にいるなんて思わないでしょ!
上を向くとそいつはいた。
にたーっと笑いこちらを眺めている。
「上にいる!みんな走って!」
私は早く逃げることを皆に促す。
私とあんことべリアは化け物の姿を見てすぐに逃げることに成功したがゆきだけは違った。
「な、なんなのこれ?」
化け物の姿を見て腰を抜かしていた。
化け物はゆきの前に立つとクケケと気持ちの悪い笑い声をあげながら腕を振り上げる。
「《巨大化》」
化け物がゆきに攻撃しようとしたときあんこが巨大化し化け物に体当たりをして化け物とゆきの距離を離す。
「皆さん私に乗ってください!」
私は動けないゆきを拾い上げあんこの背中に乗る。
私とべリアが乗ったのを確認するとあんこが全力で走り出す。
私は後ろを向いて化け物を確認する。
やはりあんこの体当たりも効いてる様子はなく立ち上がる。
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
化け物は耳を塞ぎたくなるような叫び声をあげてこちらに走ってくる。
あんこの足も速いが化け物の方は更に速かった。
徐々に差を詰められる。
「あんこちゃん出口はまだ?どんどん近づいてきてるよ!」
「ごめんなさい!まだまだ先です!」
「分かった!」
私は時間を稼ぐためにアイテムボックスから適当にアイテムを取り出して投げる。
野菜や肉などの食材やこの前買ったばかりの服もアイテムボックスの中に入ってるものをあるだけ化け物に投げつける。
しかし、いくら物が当たろうと化け物のスピードが落ちることなく私たちを追いかける。
どうしよう。
アイテムボックスの中のアイテムが全部無くなった!
最後はもうこの手に持ってるランプしか……。
これがなくなったらこの先の洞窟を歩けなくなる。
でも、ここでつかまったら終わりだ!
私は思い切って手に持っているランプを投げる。
ランプは見事化け物に当たった。
当たったランプは割れて一瞬ボウッと大きな炎をあげて周りを強く照らした。
キィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
奇声を上げて化け物が止まり壁に頭を打ち付け始める。
化け物はガンガンと壁に頭突きをする。
化け物に頭突きをされた壁には大穴が開く。
大穴をあけると満足したのか再び私たちを追いかける。
でも今のでだいぶ距離が開いた。
「あんこちゃん、あとどれくらい?」
「あともう少しです!しっかりつかまっていてください!」
あんこの言う通り目の前には階段が見える。
本当にもう少しだ。
階段を上り始める。
こんなに長かったかと思うほど階段が長く感じる。
さっき距離を開けたはずの化け物もすでに目と鼻の先まで迫て来ている。
階段を登りきると祭壇の部屋を抜け一直線に出口を目指す。
「もう少し!頑張って!」
「はい!」
遺跡から出るとさっきまで暗い中にいたので目がくらむ。
ぼやけた目で化け物はどうなったかと後ろを振り向く。
「どうして?」
そこには遺跡の外に出た化け物が立っていた。
クケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケ!
化け物が大声で笑う。
よく考えてみればおかしな話だったのだ。
どうして私たちは遺跡の外に出れば助かると信じていたの?
化け物が外に出る事が出来ない確証なんて何もなかったのに。
いつまでも追いかけてくる化け物に逃げる方法などないことに気づく。
隠れてやり過ごそうにもここに隠れる場所などない。
だったら戦うしかない!
そう決めた私たちは化け物と向き合い戦闘態勢に入る。
その時だった。
化け物が動き出した瞬間化け物の足が灰になって崩れ落ちた。
倒れる自分を支えようと手をついた瞬間手もなくなった。
手がなくなり支える事が出来なくなった頭はそのまま地面にぶつかり頭も灰になって無くなった。
そして最後に体が灰になる。
「倒したの?」
「あたい達が倒したわけじゃないけどな……。」
「でも助かりましたね……。」
「ちょっとあれ見て!」
ゆきが指をさす方を見ると化け物だった灰の中に宝箱があった。
「宝箱だ!」
私はすぐに駆け寄り宝箱の中身を確認する。
エメラルド×1 100000p
「やったー!二番目に高いエメラルドだったよ!」
「やったじゃねえか!」
「よかったですね!」
「やったわ!」
この苦労に見合うか分からないがとにかくお宝をゲットできた。
私達はおもむろに遺跡の方を見る。
見ていると遺跡の中からあの気持ちの悪い笑い声が聞こえるような気がしてゾワリとする。
「みんな行こうか。」
「そうだな。」
「そうですね。」
「そうね。」
皆も同じだったようで遺跡から離れる。
ここは明るいけど暗い洞窟の方がよっぽど安全だ。
もうこんな体験はこりごりだと思い来た方とは違う洞窟に入っていくのだった。
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