62話 実は可愛いものが大好きだった!
レイク視点の話です。
フータとアオが黒竜を討伐した頃から時は遡り70時間地点になる。
レイクたちは暗い洞窟の中を歩き続けていた。
洞窟を進み始めたときは怖がってべリアにくっついていたレイクとゆきだったが歩いているうちにだんだん慣れていき今では普通に歩いている。
しばらく歩いていると後ろからトントンと肩をたたかれる。
「なに?」
後ろを振り向くとそこには誰もいない。
え?
もしかしてお化……。
いやいや!
そんなわけない!
ここはゲームの中なのだ。
そんなことを考えているともう一度肩をトントンと叩かれた。
勇気を振り絞って振り向いてみるが結局誰もいない。
やっぱりお化……。
いやいや!
そうだ、これはいたずらだ!
この中の誰かが私にいたずらしているに違いない!
そうなると誰がやってるのかってことになるけど……、これはもう確定でべリアちゃんだね!
なぜなら叩かれた感触はしっかりと人の指のような感触がありこの中で人型なのはべリアちゃんしかいない。
犯人も突き止めたところでもう一度肩を叩かれた。
「ふふん!べリアちゃん、私を怖がらせようとしたってそうはいかないぜ!」
自信満々に言い叩かれた手を逃がさないように掴む。
「あたいが何だって?」
「あれ?何でべリアちゃんがそこにいるの?」
おかしなことが起きていた。
今私はべリアちゃの手を確実に掴んでるはずなのに何でべリアちゃんは私の隣にいるの?
じゃあこの私の肩にある手はいったい誰の……?
「おい!レイク今すぐその手を放せ!」
恐る恐る振り向くと……。
「「「「「「ケタケタケタケタケタケタケタ」」」」」」」」
ケタケタと笑うスケルトンの群れがそこにいた。
「キャーーーーーーーーーー!」
私は思わず叫んで走り出す。
そしてスケルトンの群れはべリアたち三人を無視してケタケタと笑いながら私だけを追いかけてくる。
「どうして私だけが追いかけられてるのーーーー!」
しばらく走っていると恐怖の感情が段々この私だけ追いかけられてる状況に対しての怒りに変わってくる。
「いい加減にしろーーー!」
先頭でケタケタと笑いながら追いかけてきていたスケルトンを素手で殴り飛ばした。
あれ?いい感触かも?
殴った時にボロボロと崩れる脆い感じ……いいかも!
そこで私微笑みキラッと目が光る。
これだけいるならもっと楽しめる!
スケルトンも何かを察したのか笑うのも追いかけるのもやめている。
あれ?
追いかけてこないの?
じゃあ、私から行くね!
私がスケルトンに向かっていくと同時にスケルトンたちは慌てて逃げ始める。
「まってーーー!」
大慌てで逃げるスケルトンたちの最後尾から順に殴り飛ばしていく。
そんな私の姿を見てあんこたちは感想を口にする。
「楽しそうですね。」
「何遊んでるのよ。」
「助けに入らなくても……良さそうだな……。」
私はスケルトンをすべて倒すと皆の元に戻った。
「お疲れ様です。」
あんこが声をかけてくれる。
「スケルトン倒したらお宝がドロップしたよー。」
銅×2 20p
石ころ×5 5p
「合計25P手に入ったけどみんなのためにはもっと欲しいねー。」
「そうですね。今後のことを考えたらあっても困る物ではないですしね。」
「でも、これだけ歩いて今のが初めてのモンスターだろ?このまま洞窟の中にいたら全然稼げずに終わるんじゃないか?」
「確かにそうね。」
「じゃあ、早く洞窟から出ないと!みんな早く行こう!」
「レイクさん、ストップです。今日はここで休みましょう。もうそろそろ7時なので夕食にしましょう。」
「え、でも……。」
そう言ったところで私のおなかが鳴ってしまう。
「うん!夕食にしよう!」
急に変わった私の言動にあんこは苦笑いをし、ゆきとべリアはあきれていた。
「あはは……。」
私は笑ってごまかすしかなかった。
夕食にすると決めた私たちは各々夕食の準備をしていた。
「あんこちゃんとゆきちゃんのご飯ってそれだけ?」
あんことゆきの皿を見ると野菜しかのっておらず量も少ない。
「はい。私たちは基本野菜しか食べられませんしそれに体も大きくないので量もたくさんは必要ありません。」
「そうなんだー。燃費がいいんだね!」
「燃費ですか……。そうとも言えますね。」
燃費といわれて微妙な顔をしたあんこだったがレイクはそのことに気が付かなかった。
「べリアちゃんは何も食べないの?」
各々準備しているのにべリアは何も用意していなかった。
「あ、あたいは後から食べるからいいんだよ……。」
もじもじ何か隠すような態度でべリアは答える。
何か隠してるなべリアちゃん。
そう簡単に私の目はごまかせないぜ!
「べリアちゃん何隠してるの?」
「べべべ、別に、なな、何も隠してないし!」
ほほーう。
やはり何か隠しているな。
でも何を隠しているんだろう?
今は夕食の時間だからご飯のことだよね。
それに、べリアちゃんはメイド服を着ている。
となると……。
分かった!
「べリアちゃん、私たちに隠れて後で料理でもしておいしいもの食べる気でしょ!」
「ん?あたい料理なんてできないけど?」
「なん、だっ、て?」
「料理なんてできねえよ。」
「じゃあ何でメイド服着てるのさ!」
「それは、一応あいつの使い魔だから。」
「だったら何を隠してるの!」
「だ、打から何も隠しってないって!」
べリアがそう言った拍子にべリアの手から何かがこぼれた。
それを拾い上げると可愛い袋だった。
中を見てみるとあんことゆきの絵が描かれたクッキーだった。
「あ、……。」
べリアが絶望の表情をする。
「こ、これは……。」
見てしまった私もなんて声をかければいいのか分からなかった。
「ご、ごめんね……。」
そう言ってそっとクッキーを返す。
べリアの顔を見ると段々と涙目になっていきしまいには泣き出してしまった。
それを見たあんこたちも何があったのか確かめに来た。
「あ、あたいだって~可愛いものがすきだもん。あんことゆきを~抱っこしてなでなでしたかったんだも~ん。」
今は大泣きしているべリアの手に握られているクッキーをあんことゆきは見つけ、互いに頷きあうとあんこはべリアの膝の上に、ゆきは傍に座る。
「ふぇ!?」
一瞬驚いたべリアだったがすぐに二匹を抱き寄せ、抱きしめる。
べリアは次第に落ち着いていきあんことゆきを抱きしめながら寝てしまった。
完全に寝たべリアを確認するとあんことゆきはそっと離れる。
「二人をもごめんね。私のせいで……。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
「それにしても意外だったわね。べリアって意外と幼いのかしら?」
「そうですね。見た目は幼いですが普段落ち着いて悪魔なので年を取っていると思っていましたがあの様子だと見た目通りの年齢の様ですね。」
「普段はしっかりするように頑張ってたんだね。」
私はべリアにそう声をかけながら頭を撫でる。
えらい、えらいと言いながら撫でているとべリアの顔が綻ぶ。
私たちはそれを見て安心し夕食を済ませるとみんなで身を寄せ合って眠りについた。
翌朝起きると真っ赤に目を腫らしたべリアに「昨日のことは絶対に忘れろ!」と何度も言われるのだった。
後から聞いた話だがあのクッキーはチェイスさんの手作りらしいです。
残り56時間
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