61話 急に小者らしくなった!
「無視しないでくださいよ!本気で死んじゃうから!」
おそらく今大声で泣きごとを言っているのはさっきまで僕たちに猛威を振るっていた黒竜なのだろう。
「解放しても僕達に攻撃をしないと誓うか?」
「は、はい!誓います!誓いますから早く放してください!」
僕はアオ達に視線を送る。
アオとファイヤさんは無言で頷いて返す。
解放してみよう。
でも警戒は怠らない。
いつでももう一度捕えれるようにしておこう。
「《解除》」
僕がそう言うとさっきまで森だった場所に何もなくなる。
なくなったことで黒竜の拘束も解けた。
「馬鹿め!解きやがったな!われのブレスでもくら……。」
「《森の目覚め・吸》」
警戒していて良かった。
《森の目覚め・吸》を発動してもう一度黒竜を捕らえる。
「ちょっ、まっ、冗談じゃないですか!お約束ですよ!まって、これ以上吸われると本当に死んじゃうから!消滅しちゃうから!もう何もしないから放して!」
「その言葉を信用できると思うか?」
「信用してくださいよ兄貴!兄貴と我の仲じゃないッスか。」
「僕はお前の兄貴でもないし、そんな仲になった覚えもない!」
そんなやり取りをしていると黒竜が本気で焦り始めた。
「兄貴、HPが一割切っちゃいました!マジでこの先はシャレにならないッスから!何でもするッス!だから!お願いだから放して!」
涙目で訴える黒竜が見るに堪えなくなりもう一度放してあげることにした。
「《解除》」
「は、はー。助かったー……。」
黒竜は解放されるとその場にへたり込んだ。
「調子乗ってすみませんでした!ちょっと自分の強さに酔ってたッス!これからは兄貴のもとで自分を見つめなおすッス!」
そして物凄い勢いで土下座された。
「さっきも言ったけど僕はお前の兄貴じゃない。しかもこれからは僕のもとで自分を見つめなおすって言ってたけど無理でしょ。どうやって僕の傍にいるつもりだよ。そんな巨体じゃ街にも入れないよ。都合よく体を小さくできるわけでもあるまいし。」
「体ッスか?それなら小さく出来るッスよ。」
「出来るの!?」
「はい。《縮小化》」
黒竜がスキル名を唱えるとみるみる小さくなっていき手のひらサイズになった。
「これで問題ないッスよね!」
「でも使い魔でもないのにモンスターを街に連れて入れるのかな?」
「使い魔っスか?それならやっておきましたよ?後は兄貴が我に名前を付けるだけッス!」
フータ LV.37 お金2800G
HP 470
MP 590
STR 805 +150
INT 665 +150
AGI 475 +300
VIT 475 +150
MND 475 +150
DEX 755 +150
ステータスポイント0
《称号》 『森の王』『森の狩り人』『殲滅者』『植物の使い手』『貫く者』 『器用貧乏』『おこぼれ王子』『タッグマッチトーナメント優勝者』
《スキル》『森の目覚めLV.10』『植物操作LV.10』『ドレインLV.10』『剣術LV.7』『パーティー念話』『植物操作術LV.5』『使い魔召喚・送還』『魔法術LV.3』『森の目覚め・攻』『森の目覚め・吸』
《魔法》風属性魔法LV.3 (ウィンドボール、ウィンドカッター、ウィンドアロー)
《使い魔》 あんこLV.3 ゆきLV.3 黒竜LV.5
本当だ!
いつの間にか使い魔に黒竜が増えてる!
何かちゃっかりしてるな!
うん、そんな黒竜は適当な名前でいいだろう!
「お前の名前は『クロ』だ!」
僕がそう言うとクロの体が光に包まれた。
光りが収まるとクロは微妙な顔をしていた。
「何か文句ある?」
「兄貴……。流石に安直じゃないッスか?別にいいッスけどね……。でももうちょっとカッコイイ名前があるのではないこと我は思うわけで……。」
ブツブツと何か言いだしたが放置しておこう。
「アオ、ファイヤさん、もうこっちに来て大丈夫ですよ!」
遠くにいる二人を呼んだ。
「師匠!流石です!あの黒竜を一人で倒すなんて!ねっ、ファイヤさんん!」
「ああ!本当に見事だった!それで今黒竜はどんな状態なんだ?」
「僕の使い魔になった状態ですね。もう攻撃はしないはずです。」
「そ、そうか。この小さいのがあの黒竜だとは……。」
「黒竜ではない!我にはクロという名前がちゃんとあるのだ!かみつくぞ!」
「こら!やめろ!」
僕はクロに拳骨をする。
「痛いッス!冗談じゃないッスか!ひどいッス!」
そんな光景を見てファイヤさんは苦笑するのだった。
「それであの宝箱はどうしましょう?厳密にいえば僕が倒したわけではないですし。」
「何を言ってるんだ!あれはフータが貰うべきだ!現に俺は何もやっていない!全てフータの功績だ!文句言うやつがいたら俺がぶっ飛ばしてやるから安心しろ!」
そしてがッハッハーといつものように笑う。
「じゃあ、お言葉に甘えていただきます。」
僕が宝箱を開けるとやっぱりダイヤモンドが入っていた。
ダイヤモンド×1 1000000p
「やりましたね!師匠!」
「うん!後はこれを終了まで守り切るだけだ!」
「じゃあ、また会うことがあったらよろしくな!」
ファイヤさんとフレンド登録を済ませ山頂で別れた。
最後まで豪快に笑い去っていった。
「さて僕たちも下山しようか。ここで終了を待ってもいいけどまだP稼げるかもしれないし。」
「はい!」
「我はちょっとここに残るッス!まだHPが全然回復してないッスから回復したら兄貴の所に向かうッス!」
「うん。わかったよ。また後で。」
「また後でッス!」
こうして僕たちはファイヤさんとは反対方向に歩き出すのだった。
残り48時間
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