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44話 ホラー映像とかって怖いとわかってても見ちゃうのは何でだろうね?

 早く《森の目覚め・攻》を試したい僕は今モンスターを見つけていた。

 目の前にいるモンスターは真っ黒な長いローブを着てフードで顔は見えておらず、大きな鎌を持っている。

 それはまるで死神を想像させるようなモンスターがいた。

 暗い洞窟の中で死神の持っている大きな鎌の刃だけが赤黒く光っている。

 大きな鎌の刃の色なのだが、死神と相まって人の血を思わせるような色だ。

 幸いなのは死神はまだこちらに気づいていなないことだろう。

 今までのモンスターはそこまで恐怖を感じてこなかったけどあいつは違う。

 見た瞬間に恐怖で足がすくんだ。


 そして僕たちは小声で作戦会議を始めた。

 「あいつはやばい感じがするよ!レイクセンサーがそう言ってる!」

 「レイクセンサーってなんだ。でも師匠、俺もあれは危険な感じがします。」

 「アオセンサーもそう言ってるの?」

 「はい!師匠!」

 「正直僕もまだあの死神はこっちに気づいてないみたいだから逃げるのもありだと思う。でもせっかくだしスキルを試してみたいんだよね。だから一撃だけ攻撃してしてダメそうだった撤退するっていうのはどうかな?」

 「わかった。それでいいよー。」

 「わかりました。」


 「それじゃあ行くよ。」

 僕の言葉に2人と2匹は頷く。

 「《森の目覚め・攻》」

 僕がスキル名を言うといつも通りその場に木が生える。

 いつもと違うのは僕が攻撃を意識しなくても自動的に木の根が攻撃対象に向かって伸びていく。

 そして死神に木の根が突き刺さる。

 よし!

 これなら倒せたはずだ。

 仮に倒せてなくても木の根が刺さった状態で動くのは難しいだろう。

 つまり初撃が成功した時点で僕の勝ちは決まったとも言える。

 ギロリ……。

 死神が振り返ってこちらを見た。

 ここでようやく死神と目が合う。

 そして死神は木の根が刺さっている状他のままこちらに向かってくる。

 いや、違う!

 木の根は刺さってなんかいない!

 すべてすり抜けいる!

 「みんな逃げろ!失敗した!」

 僕の合図でみんな予定通りに逃げ始める。

 予定外だったのは死神の速さだ。

 僕が振り返ってみんなに指示してもう一度死神の方を見たときには既に目の前にいた。

 僕は即座に剣を抜き死神に振り下ろす。

 すり抜けた。

 やばい死ぬ…。

 そう感じると思わず目を閉じてしまった。

 

 次に目を開けた時僕はまだ暗い洞窟の中にいた。

 今までと違う所といえば僕の首に大きな鎌の刃が僅かに当たっており金属の冷たさが伝わってくるという点だけだ。

 「ダメじゃないですか。いきなり襲ってくるなんて。流石の私でも少し驚いてしまいましたよ。」

 それはこの場にふさわしくないとても優しくて安心するような声だった。

 僕は恐る恐る声の主の方を見る。

 声の主は今僕の首に大きな鎌の刃を当てていてとても優しそうな顔をした男の人だった。

 「何でそんな怖いものを見ているような目で私を見るんですか?」

 しかしこの場にいる全員が混乱していてこの問いに答えられる者はいない。

 「師匠を話せ!」

 いち早く立ち直ったアオが叫ぶ。

 「ああ、これはすみません。攻撃されたものでつい。」

 死神はそう言うと僕を解放する。

 解放された僕はすぐさま死神と距離をとった。

 「傷つきますね。そんな反応をされると……。私も皆さんと同じプレイヤーなのに。」

 「「「「「プレイヤー!?」」」」」

 「そうですよ。」

 「ごめんなさい!モンスターだと思って攻撃しちゃいました!」

 「うーん。そうですねー。では条件付きで今回のことは許してあげましょう。」

 「僕に可能な範囲なら条件に従います。」

 「あなたたちはギルドを組んでいますか?」

 「はい。僕たち3人でフォレストというギルドを組んでいますが……。」

 「そうですか。なら私をそのギルドに入れてください。」

 「はい?」

 

 

 

 

 

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