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39話 僕の心のHPゲージを皆にも見せてあげたい!

 街に戻った僕たちは今囲まれている。

 主にアオが…。

 街に入った途端プレイヤーが集まってきてアオのギルド勧誘が始まったのだ。

 「うちのギルドにおいでよ!」

 「私たちと一緒にギルドを作ろうよ!」 

 「俺達と楽しいゲームライフを過ごそうぜ!」

 騒ぎが騒ぎを呼びどんどん人が集まってくる。

 みんなタッグマッチトーナメント優勝者を勧誘するのに必死になっている。

 僕は一言も誘われないけど…。

 僕も一応タッグマッチトーナメント優勝者なんだけどな…。

 アオと一緒にいた僕とレイクはもみくちゃにされて騒ぎの外に出されてしまった。

 「はー、苦しかった。アオは本当に人気者だねー。」

 「そうだね。騒ぎが収まるまでちょっと離れたところで待っていようか。」

 「あんこちゃんとゆきちゃんは大丈夫だった?」

 「大丈夫よ。」

 「大丈夫です。」

 あんことゆきはもみくちゃにされそうになった瞬間から僕の頭の上に避難していたので大丈夫だ。

 僕はあんことゆきを頭の上から下ろし撫でながらアオを待つことにした。

 始めにゆきを撫でようとしたときは手を叩かれたけど今はおとなしくなでさせてくれる。

 時折気持ちよさそうな顔をするのでそれも何とも言えないほど可愛いい。

 あんことゆきを撫でる僕をレイクがずっと羨ましそうに見ているけど気にしてはいけない。

 この時間だけはだれにも譲りたくないのだ。

 

 レイクの僕に対する羨ましさがマックスになりそうなときにようやくアオが解放されて僕たちのもとに戻ってきた。

 「ごめんなさい。お待たせしました。」

 「お疲れ様。大変そうだったね。」

 「はい…。断ってもなかなかあきらめてくれなくて…。」

 「それなのにどうやって抜け出してきたの?」

 レイクが不思議そうにアオに尋ねる。

 「「俺は師匠の作ったギルド以外に入るつもりはない!」って言ってやりました!」

 「なるほどー。」

 「さあ、行きましょう師匠!」

 アオが僕に師匠といった瞬間周囲の目が一瞬で僕の方に向いた。

 「おいおい師匠っておこぼれ王子のことかよ。」

 「アオ様はなんであんな奴と一緒にいるのかしら?」

 さっきまで大きな声でアオを勧誘していた人たちが今度はひそひそと小声で話し始める。

 「フータは本当に嫌われてるんだねー。何でそんなに嫌われてるの?」

 「本当に何でだろうね…。」

 

 周囲の言葉が刺さり僕の心のHPゲージはどんどん削られるのだった。

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