35話 レイクは楽しそうだった!
僕がしょんぼりしている間に女子グループがアオに騒いだことでタッグマッチトーナメントで活躍したアオを見ようと人が集まってきた。
タッグマッチトーナメントまで森でしかレベル上げをしていなかったので平原でも戦ってみたいと思っていたけどこんなに人が集まってしまうと無理そうだ。
森に行くしかないなー。
「森に行ってレベル上げしようか。」
僕はアオ達に提案する。
「そうですね。ここでは無理そうですね。」
そして僕たちはそそくさと森へ向かった。
森に入るとグリーンスライムが出てきた。
アオはグリーンスライムを見るなりすぐに弓を構えてグリーンスライムの核に矢を放つ。
アオの矢が外れるわけもなくグリーンスライムに命中してグリーンスライムは倒れた。
「おー。アオって強いんだねー。」
レイクが感心したように言う。
「それなりにな。でも師匠はもっと強いぞ!」
「それは楽しみだなー。早く見てみたい!」
そこへ丁度良くシカジカが現れた。
「では師匠お願いします!」
「うん。植物操作」
僕は植物操作で近くにあった木の根を伸ばしてシカジカを突き刺した。
「え?木が伸びたけど今のフータがやったの?」
「そうだよ。」
「すごい!その攻撃すごく強そう!」
「強そうじゃない。強いんだ!」
アオが胸を張って答える。
なんでアオがそんなに自信満々で答てるの?
「そっか。強いんだ!」
「そうだ。強いんだ!」
まあ、アオとレイクが仲良さそうにしてるからいいか…。
モンスターを探して歩いていると再びグリーンスライムを見つけた。
「今度は私が行ってくるねー。」
「え、ちょっとま……。」
武器も何も持っていないレイクを止めようとしたけど止める暇もなくグリーンスライムのもとへ行ってしまった。
そしてレイクはグリーンスライムを素手で殴り始めた。
グリーンスライムを殴っているレイクの表情は嬉々としていた。
嬉々として殴り続けているレイクを見て僕たちは何もできないでいた。
何もできないというよりは何もしないでいた。
だって怖すぎるんだもん!
なんであんな表情で殴り続けてるの?
触らね神にたたりなしって言うくらいだしここはノータッチの方がいいだろう。
ていうか変に関わると危ない気がする。
自分の身が……。
そんなわけで僕たちはレイクがグリーンスライムを倒すまで見守ることにした。
やがてレイクがグリーンスライムを倒した。
倒したグリーンスライムを見てレイクはうっとりとした表情をすると僕たちの方に戻ってくる。
その表情はぞわりと鳥肌が立つような怖さがあった。
ゲームだから鳥肌は立たないんだけどね。
「おまたせー。」
「お、お疲れ様…。」
「どお、私も結構やるでしょー。」
「う、うん。そ、そうだね。」
「どうしたのみんなさっきから顔が引きつってるよ?」
「な、何でもないよ!さ、さあ次に行こうか。」
僕は無理矢理に話を終わらせて次に行こうとした。
ピロン♪
メールの音が鳴った。




