34話 かっこいい二つ名が欲しかった!
レイクの紹介も終わり僕たちはレベル上げとレイクのお金集めをするためにモンスターを探して歩き始めた。
あんことゆきはレイクの抱きしめが相当嫌だったらしく僕の肩に乗ってレイクの方を警戒している。
「そういえば君の名前聞いてなかったね。」
レイクはアオに話しかける。
「師匠はお前のことを仲間と認めたかもしれないけど俺はまだ認めてないからな!」
「えー、でもあんこちゃんとゆきちゃんは認めてくれたよー。」
「認めてないわ!」
「認めてません!」
あんことゆきはレイクの発言を全力で否定した。
「てかなんでフータのことを師匠って呼んでるの?」
「師匠はすごい人だからだ!」
「どうすごいの?」
「それはもちろんーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
それからアオは僕がいかにすごいかを長々と語った。
もう恥ずかしいからやめてほしい。
思わず僕は両手で顔を覆う。
「ふーん。要約すると助けてもらった時にかっこいいと思ったってことね。」
「おい、一言でまとめるな!」
「まとめたっていいじゃない。だって長いんだもん。」
「ダメだ!」
「いいじゃない!」
アオとレイクがどうでもいい言い争いをしているとアレルギー遠くにいた女性グループがアオに気付いた。
「もしかしてあそこにいるのはアオ様じゃない?」
「ほんとだ!」
「弓聖のアオ様よ!」
「きゃーーーー。こっちみてー。」
弓聖って何!?
いつの間にそんなかっこいい二つ名みたいなものがアオについたの?
素直にめちゃくちゃ羨ましいんだけど!
僕にも何かそういう二つ名みたいなのが付かないかな?
そんなことを思っていると女性グループは僕を見てこそこそ話し始める。
「あれはおこぼれ王子じゃない?」
「ほんとだ。おこぼれ王子だ。」
「なんであんなのがアオ様の隣にいるのよ!」
おーい、全部聞こえてますよー。
こそこそ話すならもっと聞こえないように話してほしかったな!
あなたたちのせいで聞きたくないを聞いてしまったじゃないか!
やっぱりおこぼれ王子は広まっていたのか…。
ひどい!
誰だ!
僕のことをはじめにおこぼれ王子って呼んだ奴は!
こんな二つ名望んでない…。
「君はアオっていうんだね!なかなか人気者なんだね!」
「別に人気なんていらない。しかし、あいつら師匠のことを悪く言うのは許せん!弓で仕留めてやろうか!」
アオが怒りながら言う。
本当に弓を引き始めたので慌てて僕は引き止める。
「こらこら。やめてあげなさい。アオがそんなことしたら彼女たちがかわいそうでしょ。」
「しかし、師匠!」
「僕は何言われても大丈夫だから…。」
実を言うと相当心の方にダメージが入ってるけどここは嘘をついておく。
僕がそう言ったのでアオはしぶしぶ構えた弓を戻す。
「フータはなかなか嫌われてるんだねー。」
「はははー…。」
レイクの言葉に僕はただ力のない笑いを返すしかなかった。




