33話 抱きしめたい気持ちはよくわかる!
「えーと、紹介します。これから一緒にパーティーを組むことになったレイクさんです。」
「よろしくー!」
「「「…………。」」」
なんで誰も反応しないの!?
そう思ったらこそこそとゆきとアオが話し始めた。
「やばいんじゃない!これはやばい気がするわ!」
「そうですよね!この人だけはダメですよね!」
二人はそう言うと互いにうんうんと頷きあう。
「こら!失礼ですよ!これから一緒に戦うんですから仲良くしないと!」
僕がそろそろ注意しようかと思っていたら先にあんこが注意してくれた。
流石はお姉さんだ。
でもあんこもさっきまではアオとゆき側だったような気がするんだけど…。
切り替えが早いってことなのかな?
「きゃーーー。何この子たち喋るのーーー!かわいい!!!」
レイクはいきなり叫ぶとあんことゆきをぬいぐるみのようにぎゅうぎゅうと抱きしめた。
「危険だわ!この女危険だわ!」
ゆきは何とか抜け出そうとじたばたしている。
しかしゆきはレイクに全ステータスで上回っているはずなのになぜか抜け出せない。
じたばたしているゆきとは反対にあんこはおとなしかった。
ん?
おとなしいっていうよりなんかぐったりしてないか!?
よく見るとあんこの背後にあんこの魂が見えそうなくらいにぐったりしていた。
「ストップ!ストップ!あんこが、死んじゃうから!」
僕は慌ててレイクを止めた。
「わーー!ごめんなさい!」
そう言ってレイクはあんことゆきを解放する。
「死ぬかと思ったわ。」
「死ぬかと思いました。」
二匹ともぐったりとしながら感想を口にする。
「ごめんなさい!ついあなたたちが可愛かったもので…。」
レイクがあんことゆきの顔に目線を合わせて謝る。
そうするとあんことゆきは一気にレイクから距離をとる。
流石は二匹ともAGIが高いだけあって一瞬で10メートルくらい離れた。
「この女危険だわ!反対よ!この女とパーティーを組むのに反対するわ!」
ゆきが離れたところで叫んでいる。
あんこもゆきに賛同なのか激しく首を縦に振っている。
「もー。そんなこといわないでよー。仲良くしましょー。」
レイクはそう言うとあんことゆきをもう一度抱きしめようと追いかけ始める。
「来るなー!」
「待ってー。」
あんことゆきが必死に逃げる中レイクはとても幸せそうに追いかける。
こうしてレイクの紹介は終わったのだった。




