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32話 笑顔は狂気だった!

 タッグマッチトーナメントの次の日僕とアオは昼からログインをして始まりの街に集合していた。

 当面のやることはアイちゃんから大会の豪華賞品を受け取ること、いつあるかわからない次のイベントに向けてレベルを上げること。

 豪華景品はいつもらえるのかわからないので僕たちはレベル上げをするためにアオと僕それとゆきとあんこを連れて平原に出た。

 平原へ出ると衝撃的なものを目にすることになる。

 黒猫?の獣人の可愛らしい女の子が満面の笑みで素手でスライムを殴っているのだ。

 なにあれ…。

 なんで素手なの?

 「狂気ね。」

 ゆきがつぶやく。

 「狂気ですね。」

 「そうですね。」

 アオとあんこがそれに同意する。

 「ちょっと!勝手に決めつけたらあの人に失礼だよ。素手で殴ってるのも何か理由があるのかもしれないし…。」

 「じゃあ、あんたが聞いてきなさいよ。」

 「え?なにを?」

 「素手で殴ってる理由よ。それとなんでそんなに笑顔なのかも。」

 「なんで僕が?」

 「だっていきなりウサギが話しかけたらびっくりさせちゃうじゃない。」

 確かにそうだけど。

 僕じゃなくてもいいよね!

 ねぇアオ!

 僕が代わりに行ってくれと期待の眼差しで見るとアオは顔を逸らした。

 「なんで!?」

 「ごめんなさい師匠。なんだかいきなり殴りかかられそうで怖くて。」

 そっか。

 アオは近距離の戦闘はダメだもんな。

 しょうがない僕が行くか。

 実際僕も気になってたし。

 そして僕は女の子の方へ近づく。

 「あ、あのーすみません」

 僕が声をかけると女の子はスライムを殴るのをやめて僕の方を見た。

 スライムを殴るのをやめたと思ったらあからさまに不機嫌になっている。

 「今何をされているんですか?」

 「見てわからないの?」

 見たらわかるの!

 うーん。

 何だろう?

 物凄く殴るのが好きとかなのかな?

 僕が悩んでいる顔をしていると女の子は当然と言わんばかりに答えた。

 「お金稼ぎをしているのよ。」

 「お金稼ぎ?」

 「そうよ。お金を稼いで沢山かわいい服を買うんだから!邪魔しないで!」

 なんか怒られてしまった。

 「でも、素手で殴るのは効率悪くない?」

 「効率?」

 「うん。武器とか装備すればもっと効率よくお金稼げると思うんだけど…。」

 「残念ながらそんなお金も今は無いのよ。なんたって鏡を買うのに全財産使ってしまったから。」

 「そうなんだ。ならどこかのパーティーに入れてもらうのがいいんじゃないかな。パーティーに入ればお金も分配されるから。」

 「なるほど。そういうのもあるのね。じゃあ、あなたのパーティーに入れなさい。」

 「え?」

 「だからあなたのパーティーに入れなさい。」

 女の子はすごい腱膜で迫ってきた。

 僕はそれに耐える事が出来なかった。

 「う、うん。いいよ。」

 「やったー!よよろしくね。私はレイクっていうの。レイクって呼んでね。」

 レイクはさっきとは打って変わってものすごく明るい表情で自己紹介をした。

 「よろしくレイク。僕の名前はフータだよ。」

 「よろしくフータ!」

 

 こうして僕達の仲間が一人増えたのだった。

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