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29話 思ってもないことを言ってしまうと後からとてつもなく後悔するよね!

 とうとうタッグマッチトーナメントの日になった。

 タッグマッチトーナメントはアイちゃんの開会宣言とともに始まった。

 俺たちは一回戦最後の試合だった。

 「本当に私は何もしなくていいの?」

 ニーヤは心配そうにこっちを見る。

 「いいよ。後ろに下がってて。」

 「うん。わかったわ。」

 アイちゃんが試合開始の宣言をした。

 その宣言と同時に俺は敵陣へ突っ込む。

 そして敵は反応できないまま俺の大きく横に振った剣で二人同時に真っ二つになった。

 「勝者ユウ・ニーヤペアーーーーー」

 よし。

 予定通り。

 「あんた意外と強いのね。」

 「意外とってなんだよ。俺は勇者になるんだから強くて当然だろ。」

 「勇者?あんたまだそんなこと言ってんの?中学の時から言ってたわよね?最近は言わなくなったから、てっきりようやく現実が見えてきたと思ってたのに…。」

 「俺が勇者になる夢をあきらめるわけないだろう。まずはこのゲームから勇者になることにしたんだ。

いずれは現実でも…。」

 「ゲームならいいけど現実はあきらめなさい。」

 「なんで!」

 「なんでもよ」

 

 俺たちは順調に勝ち進んでいった。

 順調に勝ち進んでいるのはいいけどタッグマッチトーナメントに出場している奴で気に入らない奴が一人いた。

 アオというプレイヤーだ。

 すべての試合を俺と同じように一人で圧勝している。

 それにイケメンだ。

 そして今現在も俺より目立って注目されている。

 会場中からアオに対する称賛の声が聞こえる。

 ここは一つ釘を刺しておいた方がいいだろう。

 「勇者になるのは俺だぞ!断じてお前などではない!」

 よし。 

 これであいつもこれ以上目立つような事が出来ないだろう。

 

 しかしあいつは決勝まで来やがった。

 まあ、来ると思っていたけど…。

 来てしまったものはしょうがない。

 ここできっちり倒してどっちが本物の勇者かはっきりさせようじゃないか!

 俺の優勝は決まっているがな!

 

 決勝戦が始まった。

 アオが一撃で終わらせようと矢を放つ。

 俺は余裕弾きながらアオとの距離を詰める。

 ニーヤはおそらく今のでやられているだろうなと思ってニーヤの方みると案の定やられていた。

 これで1対2になってしまったが実際は1対1のようなものだろう。

 アオのペアのフータというやつは何もしていない。

 俺にとってのニーヤと同じで大会に出るために数合わせとして出ているんだろう。

 だからアオを倒せば実質俺の優勝!

 そんなことを考えているともう一度矢が来た。

 それは弾かずに楽々と躱した。

 俺とアオの距離が縮まっているというのにアオはまだ落ち着いている。

 距離的にあと矢は数本しか撃てないだろう。

 なのにアオからは1ミリも焦りを感じない。

 何か必殺技的なものがあるのだろうか?

 「矢の雨」

 アオはそう言うと上に向かって矢を放った。

 はじめは一本だった矢が上空にたどり着くまでに無数の矢に増加する。

 そして全ての矢が俺に向かって振ってくる。

 おいおい。

 それは流石にやばいだろ。

 隠れる場所はないか周りを見渡すが隠れられそうな場所はない。

 このまま防ぎきるしかないか。

 そう足を止め剣を構える。

 夢中で矢を躱したり弾いたりた。

 そして最後の一本を躱す。

 実際は一分くらいだろうが俺にはとても長い時間に感じた。

 防ぎ切ったのでもう一度アオに接近し始める。

 多分攻撃が来るのはあと一回だろう。

 それを防ぐ事が出来れば俺の勝ちだ!

 しかしアオからの攻撃はこなかった。

 来るって思ったら急にアオの動きが止まった。

 不思議に思ったけどこれはチャンスだ。

 勢いそのままにアオ切った。

 「俺の勝ちだーーーーー!」

 俺はうれしさのあまり叫んだ。

 俺は既に優勝した気でいた。

 まだ勝負の最中だというのに。

 しかしそれに気づいたのは謎の木の根に捕らえられて身動きが取れなくなってからだった。

 「え?」

 そんな間抜けな声を出しながら俺は木の根に串刺しにされ負けた。

 

 負けて悔しかったがあのフータというプレイヤーと話してみたいと思った。

 フータのもとに向かっているときにどこからか会話が聞こえてくる。

 「あのおこぼれ王子のせいで冷めちまったなー。」

 「そうだよなー。アオ対ユウの時まではよかったのになー。」

 おこぼれ王子?

 フータのことを言っているのだろうか?

 だとしたらこいつらは見る目がない。

 油断してて負けたのは俺だけど普通に試合をしても負けるのは俺の方だろう。

 なんとなくだが俺やアオよりもフータは強い気がする。

 

 そういうわけで俺はフータのもとにやってきたのだが、何を話せばいいのか考えてなかった!

 やばい、何を話せばいいのか思いつかない。

 「自称勇者、何の用だ?」

 アオの言葉にムカッとしてしまった。

 やっぱり俺はこいつのことがい嫌いだ!

 そんなことを思ってしまったからだろうか思ってもいないことを口にしてしまった。

 「自称ではない!本物の勇者だ!それに負け犬には用はない。そこのおこぼれ王子に話があってきたのだ!」

「僕のことですか?」

「そうだ!お前だ!今日はな、そこの負け犬に勝って油断していたからやられてしまったが次は勇者である俺が必ず勝つ!覚えてろ!」

 

 やってしまったーーーーー。

 どうしよう。

 すぐにでも謝りに行かなければ!

 でも待てよ。

 今フータはあのアオと一緒にいるよな。

 アオの前で謝罪するのはなんだか癪にさわる。

 今度にしよう。

 今度フータが一人でいるときに会ったら謝ることにしよう。 

 そうしよう。


 こうして俺のタッグマッチトーナメントは幕を下ろしたのだった。

 

 

 

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